今日、ホンダはコンパクトミニバン「FREED(フリード)」と「FREED+(フリードプラス)」を発売しました。
「フリード」は、「ステップワゴン」「オデッセイ」と並ぶ、ホンダ・ミニバンの看板車種です。3列シートで6人乗り、7人乗り、HV(ハイブリッド)、4WDなどがあります。「フリードプラス」は、2列シートで荷室などの使い勝手を向上したモデルです。
※新型「フリード」とホンダ執行役員日本本部長の寺谷公良さん
ホンダは今年発売する新型車としては、燃料電池車「クラリティ・フューエルセル」や、スーパースポーツカー「NSX」、マイナーチェンジ等を除いて、実質、この「フリード」「フリード+」しか予定していません。
というのは、13年以降、主力車種の「フィット」の5度に渡るリコールやタカタ製エアバッグ搭載車のリコール問題などで、ホンダ社内のドタバタが続いたうえ、リコール費用引当金が足枷になって業績も低迷しました。
さらに、16年は熊本地震で熊本製作所が被災。四輪エンジン部品の生産が一時ストップした影響から、国内販売台数の目標を70万台から68万5000台に下方修正。
「フリード」は、ホンダ立て直しに向けた第一弾で、正直、これが売れなければ国内市場はかなり厳しい状態なんですね。いわば、乾坤一擲の発売です。
では、「フリード」は売れるのか。
競合するのは、トヨタ「シエンタ」です。昨年7月、12年ぶりにフルモデルチェンジして以降、絶好調です。月販目標7000台を掲げていましたが、9000台から1万台以上が売れ続け、今年8月は9518台と、いまだ勢いよく販売台数を積み上げています。
ちなみに、フリードは月販目標6000台で、事前受注が1万3000台ということです。
HVモデルの燃費性能は、「シエンタ」がJC08モードで27.2kmに対し、「フリード」もまったく同じ27.2km。同HVモデルの6人乗りの価格は、「シエンタ」約232万9000円に対して、「フリード」約225万6000円。ただし、運転支援機能のレベルや有無などオプションで順位が入れ替わる僅差です。では、どこで差別化するか。
以下は、「フリード」のLPL(開発責任者)を務めた本田技術研究所四輪R&Dセンター主任研究員の田辺正さんのコメントです。
「『シエンタ』は、燃費にふったエンジン仕様なのでもどかしいところがあるが、ホンダは『元気のいい走り』が捨てられない会社。『フリード』も、ホンダマークをつけている以上、燃費は重視しながらも、ひとたびアクセルを踏むと『元気のいい走り』を提供できるのがウリです」
※左からLPLの田辺正さん、「フリード」のCMに起用された芸人の徳井義実さん、モデルの蛯原友里さん
もっとも、「シエンタ」にしてみれば、国内市場が低迷するいま、元気のいいライバル登場は、市場活性化に向けてのぞむところでしょうね。つまり、切磋琢磨して市場の活性化を図る。
「フリード」は「シエンタ」と張り合い、ホンダ復活の狼煙となることができるか。“売れるのか”ではなく、“売らなければいけない”のです。
国内市場におけるホンダの命運がかかっているわけですからね。まあ、久しぶりのホンダ対トヨタの闘いですわね。