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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダとGMの燃料電池車戦略

次世代環境対応車の競争は、EVに傾きつつあると思われていますが、じつは、まだまだわかりません。

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※2016年に発売されたホンダのFCV「クラリティ FUEL CELL」

ホンダは、米GM(ゼネラル・モーターズ)と、燃料電池システムの共同生産事業を手掛ける新会社、Fuel Cell System Manufacturing(以下、FCSM)を、この1月に立ち上げました。燃料電池システムの生産子会社設立は、業界初で、両社の投資総額は8500万ドルです。

新会社は、米ミシガン州デトロイトにあるGMの既存のバッテリーパック生産工場内に設置されます。2020年をメドに、燃料電池システムの量産開始予定で、将来的に100人の新規雇用が生まれるといいます。

ちなみに、トランプ大統領の政策とは関係ないといいますが、GMと組み、しかも新規雇用が生まれるとなれば、トランプさんの心象がよくなるのは間違いないですね。

ご存じのように、燃料電池車(FCV)は、水素を燃料とし、空気中の酸素と反応させて発電し、その電気を使って走ります。排出するのは水のみで、究極の環境車といわれている。今般、EV開発が一気に注目を集めたトヨタも、いまだ、究極のエコカーはFCVとする姿勢を崩していません。

ホンダとGMは、燃料電池分野において、2013年7月から協業を進めてきました。燃料電池システムと、水素貯蔵技術の共同開発を行ってきたんですね。
なぜ、両社が組むかといえば、とにかく、米国では日本人が想像以上にホンダのブランドは高いものがあるんですね。ホンダの技術は、高く評価されているんです。

今回は、燃料電池システム生産事業です。知見を持ち寄り、燃料電池システムの性能を進化させるのはもちろん、スケールメリットや共同調達によって、リソースの効率化を図る。生産する燃料電池は、車種や車格は未定ですが、両社の開発する燃料電池車に搭載されます。

新エンジンは、貴金属の使用料を減らすなどして、コスト低減に力を入れたといいます。FCVの普及が進まない原因の一つは、燃料電池の価格の高さですからね。

FCSMのマネジメントは、両社から3人ずつの取締役を指名します。取締役会議長、社長、副社長については、基本的には2年交代の持ち回りです。
ビッグ3の一画を占めるGMと、世界販売台数は半数に満たないホンダの協業。まあ、図体は倍といっていいでしょう。一見、つりあわないようですが、ホンダは、じつは、米国で似たケースを経験済みです。

ホンダには、ホンダジェットの経験があります。航空機エンジン大手のGEとの合弁会社、GEホンダです。業界の巨人GEと、航空機エンジンに何の実績もないホンダは、50%ずつ出資してGEホンダを立ち上げた。ホンダジェットに搭載されている小型エンジンを共同開発し、販売しているんですね。

GMは、燃料電池関連の特許総数において世界1を誇ります。一方のホンダは、特許総数は3位ですが、世界で初めてFCVを開発した自負があります。おそらく、現在進行中の協業においても、ホンダが提供した技術の力は、大きいでしょう。

GMとホンダは、FCVで攻める覚悟です。トヨタも、FCVには力を入れていて、FCVの市販車「ミライ」を発売しています。
10年後、20年後の環境対応車の主流は、EVなのか、FCVなのか。当面、FCVよりEVの普及の方が先に進むでしょうが、答えはまだ見えませんよね。

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