ホンダは、国内二輪の販売チャネルを再編すると発表しました。なぜでしょうか。
現在、ホンダの国内二輪販売店は、フルラインナップを扱う「Honda DREAM」「PRO’S WING」「PRO’S」の三つと、250cc以下のモデルを扱う「Honda Wing」「Honda」の二つ、合わせて5チャネルです。
2018年4月以降、20年をめどに、フルラインナップの「Honda Dream」と、250cc以下を中心とする「Honda Commuter」の2チャネルに再編します。
大型二輪の顧客層とコミューターの顧客層は、販売店に求めるものが違うため、それぞれのニーズに、的確に答えられるようにする目的なんですね。
国内の二輪車市場が縮小し続けていることは、ご存じの通りです。人口減少、少子高齢化、電動二輪車や軽自動車など手軽なモビリティの普及によって、日本は、本当に二輪車の売れない時代になっている。
昨年、ホンダとヤマハは原付一種の協業を発表し、2018年をメドに、ヤマハはホンダから原付一種のOEM供給を受けますよね。利幅の大きい大型の機種にリソースを割くため、小型の機種では協業する。販売店の再編も、これと似た見方ができるかもしれません。
現在、ホンダの販売店は、フルラインナップの「PRO’S」と、250cc以下の「Honda」において、他社製品を「併売」しています。つまり、「PRO’S」や「Honda」では、ヤマハやスズキの機種も売っている。
しかし、新体制では、「Honda Dream」は「専売」限定。「Honda Commuter」は、「併売可」です。つまり、いってみれば、販売網の「競争領域」と「協調領域」を分けた。ホンダは、大型の機種を買ってくれるホンダファンを大事に守りたい一方、50cc以下のコミューターは、ヤマハが売れても“同じ”ですからね。
ただし、これは、ホンダにとって大きな賭けでもあります。
ホンダの販売店は、現在、全国に5500拠点ありますが、フルラインナップ専売店は241拠点。他社製品と併売する「PRO’S」を合わせると541拠点。しかし、18年4月の新体制スタート時、「Honda Dream」は150拠点、20年までに200拠点を予定しているといいます。つまり、大型の機種を扱う店舗は、現在の半分以下にする計算です。
扱う店舗が減ることで、販売台数が減る可能性もあるはずです。では、なぜ、こんな賭けに出たのでしょうか。
「市場活性化と若年層の取り込みを狙いとしています。このままの状態では、何も手を打たなければ、お客さまは減っていく。現状のお客さまを維持しながら、新規のお客さまを取り込む狙いもあります」
記者の質問に答えて、ホンダモーターサイクルジャパン営業部企画課課長木内章雄さんはそうコメントしました。
変わらなければ生き残れないのは、ホンダに限ったことではありません。国内二輪は、本当に厳しい。現状を打破するためには、何かしらの手を打つ必要があります。カワサキも昨年、2017年度からの国内販売網再編を発表しています。
少なくとも、挑戦してみなければ何も始まりませんからね。
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