自動車メーカーのモータースポーツ活動の意義とは、いったいどういうことでしょうか。
二輪車の国内販売台数は減少し、二輪文化自体が衰退していますよね。自動車も、かつてのように、馬力があって速く走ればいいという単純な話は通用しなくなっていますね。“走り屋”は、よくも悪くも減りましたよね。消費者の関心は、もっぱら燃費と安全性ですよ。
二輪、四輪とも、レースへの消費者の興味は薄れる一方です。自動運転や電気自動車、燃料電池車などが普及すれば、ますます関心はもたれにくくなるでしょう。メーカーにとっては、モータースポーツファンが少ないという意味で、レースで勝つことによるブランド価値の向上は、あまり見込めなくなっているといっていいでしょう。
今月2日、トヨタは「2017 TOYOTA GAZOO Racing プレスカンファレンス」を開催し、今期の活動計画を発表しました。FIA世界ラリー選手権、FIA世界耐久選手権、ニュルブリクリンク24時間耐久選手権、NASCAR、米国IMSA Weather Tech Sports Car Championship、ダカールラリー、Super GP、全日本スーパーフォーミュラ選手権などの参戦が計画されています。
トヨタは今年、FIA世界ラリー選手権に18年ぶりに復帰しましたが、昨日、第2戦ラリー・スウェーデンで、「ヤリスWRC」で出場したヤリ-マティ・ラトバラ選手が優勝しました。今季初優勝です。
※TOYOTA GAZOO Racing プレスカンファレンス(今月2日)に出席する豊田さん(中央)
一方、ホンダは今日、モータースポーツ活動計画を発表しました。FIMロードレース世界選手権、FIMモトクロス世界選手権、FIMトライアル世界選手権など二輪レースに加え、四輪では、FIAフォーミュラワン世界選手権(F1)、FIA世界ツーリングカー選手権、全日本スーパーフォーミュラ選手権などへの参戦を計画しています。
※ホンダ国内モータースポーツ活動計画発表会
今週末には、日産もモータースポーツの活動計画を発表します。
F1をはじめ、モータースポーツには巨額の資金が必要なんですね。だいいち、利益は1円も生み出しません。それでも、メーカーは続けます。
トヨタ社長の豊田章男さんのレース好きは、有名です。今年もプレスカンファレンスにサプライズで登場するなど積極的です。トヨタは、モータースポーツ活動を「もっといいクルマづくり」の根幹に据えて推進するとしていますね。
ホンダもまた、レース活動に積極的です。ホンダは、企業文化として「負けず嫌い」が徹底しています。その企業文化が、技術革新を生む原動力となっている。レースに関わることで、技術者は一気に成長するという話も聞きます。人材育成の面でも意味があると。
ほかにも、自動車に興味をもってもらうキッカケになるとか、社内の一体感を醸成するなど、モータースポーツ活動の意義は、さまざまにいわれます。
そして、スポーツは何でもそうですが、レースは結果がすべて。勝たなければ、何の言い訳も通用しない。この厳しさにこそ、自動車メーカーがモータースポーツ活動を続ける意味があるのかもしれません。