パナソニックは、車載用のモーターの回転角度を高精度に検出する「角度センサ」の「A³MR(エーキューブエムアール)」を開発したと発表しました。今年5月からサンプル出荷、19年受注開始、25年に400億円を目指す方針です。
※左と中央のチップが「角度センサ」の「A³MR」
いま、自動車業界では、自動運転やADAS(先進安全運転支援システム)などの開発や導入が加速しています。自動駐車や緊急ブレーキ、追従走行、また、アイドリングストップなどの精度や効率を高めようとすれば、発電機やステアリング、シフトレバー用モーターの正確な制御が欠かせません。
「角度センサ」とは、モーターの回転部分が何度動いたか、回転角度を検出するセンサです。これを正確に把握することによって、モーターの回転速度や駆動量の管理、効率的なモーター制御が可能になる。「角度センサ」のニーズは、今後、さらに高まると考えられるんですね。
「システムを制御する際に、モーターをのぞみの位置で止めたり、スピードを変えたり、そういう細かい制御が求められます。この制御に必要なのが『角度センサ』なんです。『角度センサ』で軸の角度を検知することで、電子制御ユニットからモーターを制御する信号を出します。これによってモーターを制御することで、ステアリング、シフトレバー、エンジンといったところの正確な動きを実現します」
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社デバイスソリューション事業部開発企画部課長の中園晋輔さんは、そのように説明しました。
※デモンストレーションをする中園晋輔さん
車載用のモーターは、一台の自動車に10個程度、のっているといわれますが、「A³MR」は、車載モーターの8割に使える見込みという。
従来、車載用の「角度センサ」は、レゾルバ方式と呼ばれるものが主流でしたが、サイズが大きいことに加え、機能安全の規格に対応できないといった課題がありました。
他社には、これらの課題を解決した磁気センサもありますが、高磁界では使用できず、設置場所もシャフトの真上でなければ精度が出せないものでした。
今回、パナソニックが開発した「A³MR」は、高磁界でも高精度な検出が可能で、小型軽量、機能安全にも対応でき、配置もシャフトの真上に限りません。採用するにあたって、設計変更は不要となんですね。
また、産業用のロボットや建機のモーターにも使用でき、レゾルバやエンコーダの置き換え需要が狙えますよね。
パナソニックは、車載事業を2018年度に、16年度の1.5倍の2兆円にするとしています。「A³MR」が貢献できるのはもっと後になりますが、自動車産業においてパナソニックの存在感が徐々に高まりつつあるのは間違いありませんね。