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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナ「エボルタNEOくん」、断崖絶壁に挑む

小型ロボットの「エボルタくん」を覚えている方はいらっしゃるでしょうか。これまで、アルカリ乾電池「EVOLTA」の性能実証のために、グランドキャニオンの登頂や東海道五十三次の走破、トライアスロンコースの完走などを成し遂げてきた小型ロボットです。

今回は、「エボルタNEOくん」へと進化して、ノルウェーのリーセフィヨルド・シェーラグ山の断崖絶壁に挑戦するんですね。

やや旧聞に属しますが、パナソニックは4月10日、東京丸の内の「KITTE(キッテ)」内で、新アルカリ乾電池「EVOLTA NEO(エボルタNEO)」新チャレンジ発表会を開催しました。

※エボルタNEOの20m登頂デモンストレーションを行うロボットクリエーターの高橋さん

アルカリ乾電池といえば、デジタルカメラ、ヘッドホンステレオ、モーターを使うおもちゃなど、マンガン乾電池に比べて比較的長い時間使う用途に適している。パナソニックは、9年ぶりにアルカリ乾電池の新商品を発売するんですね。同社史上もっとも長持ちする乾電池だという。

充電式の乾電池と比較して、使い切りタイプは長もち性能や耐久性が求められます。例えば、震災時に使う非常用の懐中電灯や携帯ラジオなど、いざという時に性能を発揮できなければ意味がありませんからね。

「エボルタNEO」は、従来の「エボルタ」と比較して長もち性能が約10%アップ。10年保存後のエネルギー保持率は約20%アップし、新開発の「液もれ防止製法 Ag+」により、過放電(電圧が急激に低下するときの値を下回って放電を続けること)後のガス発生量を約30%削減するなど、アルカリ乾電池に求められる性能を材料、工法、構造全てにおいて技術革新したという。

さて今回の挑戦の舞台は、前述の通り、ノルウェーのリーセフィヨルド・シェーラグ山です。7月上旬、絶壁にロープを張り、「エボルタNEOくん」が、グランドキャニオンの2倍近い、1000mの絶壁の登頂を目ざすんですね。

「グランドキャニオンを登った当時と比べて、乾電池の性能が大幅に進化しているということで、またこのような大記録も成功できるんじゃないかという気がしてきています」
こう語るのは、株式会社ロボ・ガレージの社長で、東京大学先端科学技術センター特任准教授を兼任する、ロボットクリエーターの高橋智隆さん。「エボルタくん」の産みの親です。

ちなみに、「エボルタNEOくん」の身長は17センチ、体重は単三電池2本を含めても169グラム。片手に収まるほどの小さなロボットです。登るスピードは1分間に約1.26メートル。1000mを登るのに13時間以上かかる計算です。

「エボルタNEOくん」は、お披露目の後、キッテ内の吹き抜け約20mを登るデモンストレーションが行われましたが、20分弱で無事登頂に成功しました。


※「キッテ」内で20mのロープを登る「エボルタNEOくん」。中央の小型ロボットの下を追従しているのは360度カメラ

人間がロープをのぼるのと同じような姿勢でのぼっていく「エボルタNEOくん」、つい応援したくなるではありませんか。

パナソニックの電池といえば、テスラ・モーターズ向けの車載用電池など、二次電池が注目されています。しかし、乾電池は1931年以来80年以上続く、パナソニックの“元祖”電池です。乾電池なしに、いまの車載電池はない。しかも、乾電池もいまだ進化を続けており、「エボルタ」は、08年の発売以降、16年12月末までに世界80カ国で22億本以上を生産するグローバル商品なんですね。

世界の「エボルタNEOくん」の登頂成功の報が届くのは、間違いないでしょうね。

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