パナソニックは30日、投資家向け説明会を開き、4つのカンパニーの社長が今後の事業方針を説明しましたが、「エッ!」と思った瞬間がありました。
「門真発想ではもう限界」と、パナソニックのコネクティッドソリューションズ社社長の樋口泰行氏は述べました。ガツンと“現状否定”のパンチが繰り出されたんですね。
発言の主の樋口氏は、大学卒業後、松下電器産業(現パナソニック)に入社、その後、ボストンコンサルティング、アップルを経て、日本ヒューレッド・パッカード社長、ダイエー社長、日本マイクロソフト会長など、さまざまな企業で経営トップを務めた、異色の経歴の持ち主です。
古巣のパナソニックに戻り、この4月に発足した、社内カンパニー「コネクティッドソリューションズ社」の初代社長に就任しました。樋口氏をスカウトしたのは、社長の津賀一宏氏です。25年ぶりにパナに出戻ったことは、話題になりました。
「コネクティッドソリューションズ社」は、パナソニックのB2B事業の中核を担う存在です。B2CからB2Bへの移行に何が必要か。樋口氏は、人と組織の変革をあげました。
「コネクティッドソリューションズ社が目ざすのは、何より人を軸としたビジネスです。だからこそ、組織づくりが極めて重要だと考えています。戦略策定や組織変更の繰り返しでは、いつまでたっても何も変わらないという結果にしかならない。それは、避けたい」
樋口氏は、席上、そう語りました。
変革の具体策として、樋口氏は、カンパニー本社を門真から東京に移転すると発表しました。サプライズですよね。
「門真発想では限界がある。原始的な手法かもしれませんが、顧客が集中する東京に本社を移し、愚直に顧客のもとに足を運びたい」と、樋口氏は、コメントしました。
「大阪中心ではマインド的に重い」「時代錯誤に陥りやすい」「昭和のカルチャーを変えられない」樋口氏からは、次々と忌憚のないコメントが繰り出されました。
「変わるためには、何が現実かを見極めなければいけない。大事なのは、変えなければいけないと“腹落ち”することです」と、樋口氏は説明しました。
「コネクティッドソリューションズ社」の成功は、“新生パナソニック”を占う試金石といっていい。果たして、パナのマインドを変えることができるのか。樋口氏の手腕が問われます。
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