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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

水素社会に向けたトヨタ参加のプロジェクト本格稼働へ

風力を使って水素をつくり、産業用に使う実証実験がスタートしました。果たして「水素社会」の実現につながるでしょうか。

16年3月にレポートしましたが、その後についてです。トヨタ自動車、神奈川県などは、7月12日、横浜市で、「京浜臨海部での低炭素水素活用実証プロジェクト」を公開しました。トヨタ、岩谷産業、東芝など民間企業6社と、神奈川県、横浜市、川崎市の3自治体が組み、水素の「製造」に加え、「貯蔵」「輸送」「利用」を含めた水素サプライチェーンの構築の実証と事業可能性を検討するプロジェクトなんですね。同プロジェクトは、13日から本格運用されます。

※燃料電池フォークリフト

15年にスタートした、水素サプライチェーンモデルの構築を図る実証プロジェクトでは、水素の製造・貯蔵のための機器の工事、また、水素充填車やフォークリフトの試験運用が行われてきました。

今後、水素の製造から輸送、利用までの実証運用が開始されるほか、2018年度には実証評価や事業の拡大が検討されているんですね。

まず、風力発電所「ハマウィング」でつくられた電力を利用し、水を電気分解して水素を製造します。つくられた水素は、簡易型水素充填車で運ばれ、キリンビールの工場などの物流現場に運ばれます。現場では、充填車から燃料電池フォークリフトに水素が充填されて、荷物の運搬などに利用されます。使われる燃料電池フォークリフトは12台。3分間の水素充填で8時間の稼働が可能です。

この日、キリンのビールの工場では、水素充填車から燃料電池フォークリフトに水素が充填される様子が公開されました。また、3台のフォークリフトが次々にビールケースを運搬するデモンストレーションが行われました。

今回の実証実験では、風力で得た電気で水を電気分解して水素がつくられます。つまり、製造時にCO2は排出されません。

CO2が排出されるのは唯一、ハイブリッドの水素充填車で水素が輸送されるときだけです。

また、フォークリフトには燃料電池車が使われるため、ここでもCO2が排出されません。

これによって、従来のサプライチェーンと比較して、80%以上のCO2削減が可能になりました。

※横浜市の風力発電所「ハマウィング」

プロジェクト代表のトヨタの友山茂樹専務役員は、
「現在1kg約1100円の水素価格を、将来的には半分以下に抑えたい」
とコメントしました。

今後の実証実験では、クラウドを利用した水素の製造から利用までの管理・運用が行われます。実験で得られたデータや知見を、水素社会の実現に生かすことができるかどうか。

水素エネルギーが社会や産業を支えていくようになるには、もう少し時間がかかりますね。息の長いチャレンジは、まだ始まったばかりだといえるでしょうね。

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