日産自動車は、3月1日から全国で「セレナ e-POWER」を一斉発売すると発表しました。「セレナ」は、1991年の発売以来、ファミリーカーとして定着してきた日産のミニバンです。
「いまだに、『セレナ』を購入されるお客さまの半数が『プロパイロット』を搭載して運転していただいています。今日発売する『セレナ e-POWER』は、電動化と自動化の技術が融合した、まさに『日産インテリジェントモビリティ』そのもののクルマに仕上がりました」
と、日産の国内事業を担当する専務執行役員の星野朝子さんは語りました。
※日産専務執行役員の星野朝子さん
「セレナ」には、2016年8月に発売したモデルに、高速道路の単一車線で自動運転が可能な「プロパイロット」が初搭載され、話題になりました。
今回、この「プロパイロット」技術搭載モデルに加え、電動パワートレインの「e-POWER」搭載モデルが追加されることになりました。
「e-POWER」は、「シリーズ式ハイブリッド」と呼ばれる電動パワートレインで、ガソリンエンジンで発電し、その電力を使ってモーターで走行します。16年11月に日産「ノート」にこのパワートレインが初搭載されました。
その第2弾となる「セレナ e-POWER」は、100%モーターで駆動する電動パワートレインならではの力強い加速と、発電用エンジンの効率的な発電と優れた空力性能で、26.2km/l(JC08モード)の低燃費を実現しました。
また、「セレナ e-POWER」には、アクセルペダルだけで加減速ができる「e-POWER DRIVE」と呼ばれる機能が搭載されました。「e-POWER DRIVE」は、走行スタイルに合わせて「ノーマルモード」、「スマートモード」、「エコモード」を選ぶことができます。
減速力を弱め、加速力を最大にして高速道路などを走行するときは「ノーマルモード」。加減速を繰り返して山道や交差点の右左折をするときは「スマートモード」。街中の道や渋滞で加速力を抑えたいときは「エコモード」と、走行スタイルに合わせて設定を変えることができます。
加えて、通常は「チャージモード」に設定してバッテリーに電力を蓄えておき、早朝や深夜など、静かに走りたいときに「マナーモード」に切り替えて発電用のエンジン音を極力抑えてモーターで走ることができるなど、専用スイッチもついています。
「セレナ」の月間販売台数目標は8000台とこれまでと変わらず、そのうちの4割ほどが「セレナe-POWER」となる想定だといいます。
※2月28日に発表された日産「セレナ e-POWER」
販売のネックは価格です。「セレナ e-POWER」の最低価格は296万8920円(税込)と、通常のセレナの最安モデルと比べて50万円割高です。「e-POWER」の燃費性能や加速性能、静粛性といった魅力を、いかにファミリー層に訴求できるかがポイントです。
完成車の不正検査問題で国内販売が低迷した日産ですが、日本自動車販売協会連合会によれば、日産セレナの今年1月の国内販売台数は7823台と、販売目標並みに回復しています。
昨年のちょうどこの時期、1月の国内登録車販売で32年ぶりの1位、2位に「ノート」と「セレナ」が輝いた日産。「セレナ e-POWER」は、国内市場復活の足掛かりとなるでしょうか。