6月1日、電子情報技術産業協会(JEITA)は、都内で新会長記者会見を行いました。同日、前任のパナソニック会長の長榮周作さんが任期満了で退任し、三菱電機会長の柵山正樹(さくやままさき)さんが新たに就任しました。
※電子情報技術産業協会(JEITA)新会長の柵山正樹さん
JEITAは、2000年に「日本電子工業振興会」と「日本電子機械工業会」が統合して発足した組織です。「IT・エレクトロニクス分野の日本を代表する業界団体」として、電子部品、電子デバイスをはじめ、電子機器、ITソリューションなどを中核として事業展開を行ってきました。
もっとも、近年では、トヨタ自動車、ソフトバンク、セコム、TOTO、LIXIL、JTBといった異業種分野の企業が参加・入会し、「IoT」、「スマートホーム」などの分野で、業界の枠を超えた連携が検討されてきました。
事実、JEITAの正会員数は、ここ数年伸び悩んでいたものの、2017年には前年比26会員増の291会員となるなど、企業の規模、業種を問わず、会社からのJEITAに対する期待が高まっています。
JEITAが目指すのは、サイバー空間と現実空間との情報連携により、新たな価値が生まれ、社会全体の最適化がもたらされる超スマート社会「Society 5.0」の実現です。
昨年10月のCEATECで、前会長の長榮周作さんが「超スマート社会Society 5.0に向けて」と題した基調講演を行いました。
ドイツのインダストリー4.0、中国のIoT、ロボット、AI技術の進展など、世界的な潮流を受けて、日本においてもあらゆるモノとモノをつなげ、世代を越えた人と人がつながり、国境を越えて企業と企業がつながることによって、新たな付加価値を創出していこうという、より広範な取り組みが開始されたと長榮さんは述べました。
「長榮会長には、Society 5.0に向けた事業活動を含め、さまざまな取り組みのなかでご指導・ご尽力いただきました。その思いを引き継いで、JEITAの会長の責務を努めて参る所存です」
と、記者会見の席上、柵山新会長は意気込みを述べました。
柵山会長は、デジタル変革が進む時代のなかで、JEITAを「課題解決型」の組織に変える必要があるとし、IoTによる地域活性化の視点で、農業、卸売、小売、物流、観光等の分野に新たに取り組んでいくといいます。
また、「Society 5.0」を実現するための重要な発信の場が、JEITAなどが主催する、先述したCEATECです。CEATECは、従来型の「家電見本市」から、金融業、デベロッパー、都市・インフラ企業などの新たなプレイヤーの拡大を図ることによって、徐々に参加者数が回復しています。
JEITA会長の任期は1年間。電子機器、電子部品のみならず、IoTやロボティクス、AIによって、世界の産業構造や社会構造が大きく変わろうとしているなか、この波を的確にとらえ、時宜を得たソリューションを提供していくことができるか。柵山会長の手腕が問われます。