やや旧聞に値しますが、13日、ホンダとパナソニックは、電動二輪車を用いたバッテリーシェアリングの実証研究を、インドネシアで12月に開始すると発表しました。
まず、なぜ、インドネシアなのか。同国は、2億6000万人以上の人口を抱え、二輪市場は世界第3位です。近年、交通量の増大に伴う大気汚染問題が深刻化している。国をあげて、電動モビリティを普及させる方針です。NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業として実施します。
※ホンダのモバイルパワーパック
具体的には、ホンダは、インドネシアの西ジャワ州バンドン市など3か所で、計約300台の電動二輪車などを一般市民にリースします。モバイルパワーパックは1000個用意し、市中に数十か所設置された充電ステーションで、充電しておく。電動二輪車の所有者は、走行中に電池が少なくなると、近くのステーションに立ち寄り、満充電のパワーパックと付け替えて、走行を続けることができる、という仕組みです。充電時間という課題は、この仕組みによって解決できます。
ホンダはよく知られる通り、世界最大の二輪メーカーなんですね。世界で年間約1700万台を販売しています。ずいぶん前から二輪車の電動化を進めていて、2010年に「EV‐neo」のリース販売を開始しています。当時、担当者に話を聞いたことがありますが、業務用の電動二輪は、電池のパワーや航続距離などが課題でした。
ここへきて、電池の性能は工場し、二輪の電動化の普及が現実味を帯びてきました。ホンダは昨年、日本郵政とも電動二輪をめぐって協業検討を開始しています。今年秋には、「PCX」のEVモデルも、国内で発売する予定です。
一方のパナソニックは、現在、米電気自動車(EV)メーカーのテスラの車載用電池をはじめ、円筒形、角形の車載用リチウムイオン電池で世界有数の規模を誇り、高性能な高効率電池の技術やノウハウをもっています。
パナソニックの車載電池といえば、二言目には、テスラ「モデル3」の生産の遅れがリスクとして指摘されます。「モデル3」の生産は、ようやく軌道に乗り、パナソニックは昨年、トヨタとも提携に向けて検討開始を発表していますが、中国メーカーが台頭するなか、決して予断を許しません。
そのなかで、パナソニックは、四輪、二輪とも、世界最大手といえる相手と手を組んだことになります。二輪については、収益化はまだ先ですが、ホンダとの提携によって、将来的な普及に向けてノウハウを蓄積していくことはできます。
インドネシアの「実証研究」は、両社にとって、二輪EV化を進めるうえで、課題検証、課金や運用のモデルの検討などにつながる、大事な布石です。時間はかかるかもしれませんが、二輪もまた、今後、徐々にEV化が進んでいくのは間違いないですからね。