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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産の完成検査問題を考える

日産自動車は26日、燃費・排ガスの検査データ改ざん問題について、最終の報告書を国土交通省に提出しました。

一連の検査不正は、コンプライアンスもさることながら、生産現場の疲弊の積み重ね、人口減社会からくる人手不足が重くのしかかっていると思います。


※日産の山内チーフ・コンペティティブ・オフィサー

日産はこの日、燃費・排ガス測定とは別の抜き取り検査でも不正が見つかったことを明らかにしました。ブレーキ液の残量警告灯の機能を確認する試験を実施していなかったことや、車外騒音や最大安定傾斜角度の確認を一部の車両で行っていなかったことなど、計11項目253台で不正が行われていました。

また、これまで不適切な燃費・排ガス抜取検査が行われた台数を1171台としていましたが、詳細調査の結果、1205台に拡大したことがわかりました。

報告書は、不正の理由について、「完成検査員の規範意識の鈍麻」、「現場管理の不在」、「完成検査員に対する不十分な教育」、「完成検査員の人員不足」など、10項目をあげています。

なかでも、注目したいのは、「完成検査員の人員不足」です。

横浜の日産グローバル本社で開かれた記者会見の席上、チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)の山内康裕氏は、再発防止策として、「検査員を今年度だけで670人増やします」と語りました。

この人手不足の時代に、670人の人員を集めるというのは、相当ムリな計画です。しかし、品質管理を徹底するには、やらなければいけない。

それから、同日、スズキも検査データの改ざんを公表しましたが、その背景として、業務量の多さに対して、検査員が少なく、再測定の余裕がないことをあげています。つまり、人手不足ですね。

人手をかけて品質管理を徹底すれば、その分、コストは高くなります。コストが高くなれば、価格に上乗せされ、消費者の負担が増します。高コストの国内工場は、競争力が低下します。むずかしいところです。

それに加えて、企業は深刻な人手不足に苦しめられています。このまま進めば、日本のモノづくりは大変な危機を迎えることになるでしょう。これは、もはや一企業の努力を超えています。

深刻な人手不足の時代において、日本のモノづくり力はどうあるべきか。一連の問題は、日本の製造業に避けては通れない問題を提起しているように思います。

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