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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

中国の自動車市場でのホンダの戦略

昨日、中国の自動車市場が28年ぶりに減少に転じたことについて触れました。

とはいえ、中国は年間3000万台近くを販売する世界一の市場であり、日本の自動車メーカーにとって、しっかりと押さえるべき市場であるのは間違いありません。

「依然は新規需要が多かったのですが、いまは買い替え需要が伸びてきています。それから、中国市場は、自動車の購買年齢層が20代後半から30代と若い。広告宣伝も、若者向けに力を入れています。自動車が若者にとっての憧れの商品であることは、国内市場と比べると、本当にありがたいことです」
と、あるホンダ関係者は話していました。

ホンダは、近年、中国市場における販売台数を急激な勢いで伸ばしてきました。東風ホンダと広汽ホンダの2社を合わせて、2013年に約75万台だったのが、17年には146万台と倍増している。小型車からSUVまで、カテゴリーは充実していますし、広汽ホンダの自主ブランドで発売した、中国専用車の電気自動車のSUV「理念VEー1」などもあります。

東風ホンダと広汽ホンダで、同じベースのクルマでテイストを変える「兄弟車戦略」も功を奏しています。

ただ、すでに中国の都市部では、渋滞や排気ガスが社会問題化し、ナンバープレートの番号による規制など、自動車の台数を抑制する政策を実施するところが増えています。内陸部に自動車が浸透していくのはこれからですが、都市部の自動車の飽和状態も、無視できない。

では、今後の中国の自動車市場を攻めるうえで、ポイントは何でしょうか。

一つは、断るまでもなく、「CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)」対応です。自動車の量を売ることはもちろん大切ですが、「CASE」対応による自動車単体の高付加価値化は、一つのポイントですね。

とくに中国は、バイドゥ、アリババ、テンセントといった巨大IT企業が、電子決済から飲食、宅配、ネットショッピングなどあらゆる業界に進出し、日本以上にITが生活に浸透しています。自動車業界をめぐっても、カーシェアや配車サービス、地図などのサービスを手掛ける企業に出資し、自動車事業に進出してきている。

IT大手には、勢いも資本もあり、バックには中国政府もついています。つまり、今後の中国の自動車市場では、地元のIT企業と協業することが欠かせませんよね。

ホンダも、すでにバイドゥの自動運転連合に参加したり、アリババとコネクティッドカーの開発に乗り出すなど、さまざまな方面からITとの融合を進めています。

家電も同じですが、これからの自動車市場は、ITと融合しながら進化してきます。もっとも変化が速く進む国の一つが、中国市場でしょう。

自動車メーカーは、販売台数だけでなく、シェアリングを含む「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の観点から、いかに新しいビジネスモデルを構築し、そこから利益を得るかが、今後の競争の焦点になっていくでしょうね。

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