日産自動車と三菱自動車は28日、共同開発した新型軽自動車の発表と販売を開始しました。そこには、2011年に折半出資してつくられた合弁会社「NMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)」の存在があります。
※「eK X(クロス)」と取締役会長CEOの益子修氏
三菱自動車は、6年ぶりのフルモデルチェンジとなるハイトワゴンタイプの新型軽自動車「eK wagon(ワゴン)」と、新たに設定された「eK X(クロス)」を発表しました。
日産自動車は、新型軽自動車「デイズ」と「デイズ ハイウェイスター」を発表しました。
三菱自動車の「eKワゴン」は、高速道路同一車線運転支援技術の「MI‐PILOT(マイパイロット)」を搭載し、運転のしやすさを向上させました。日産の運転支援技術「プロパイロット」が提供されています。
また、三菱自動車が新たに設定した「eKクロス」は、三菱独自のSUVテイストを持つクロスオーバーモデルで、新たに採用したハイブリッドシステムによる低燃費で力強い走りが特徴です。
「三菱自動車らしいクルマになった」と、新車発表会の席上、取締役会長CEOの益子修氏は述べました。
軽自動車は今日、国内乗用車市場の4割を占める重要なセグメントです。自動車メーカーはいまや、軽を抜きにしては経営が成り立たないといっても過言ではありません。
三菱自動車と日産自動車は11年6月、軽自動車の商品企画、開発マネジメントを行う日本初のジョイントベンチャー「NMKV」を設立しました。
当時、三菱自動車は経営再建途中にあり、単独での生き残りが不安視されていました。その一方で、日産は軽自動車の開発生産のノウハウを持っておらず、スズキや三菱自動車からOEM(相手先ブランドによる生産)調達していたんですね。
「NMKV」は、軽自動車の開発、生産において、三菱自動車と日産がライバルメーカーでありながら手を握り、それぞれのいいところ取りをして、プラスアルファを生み出してきたわけですね。
「これまでは、『NMKV』が共同企画をし、三菱自動車が主体となって開発をしてきましたが、今回は、日産が主体となって開発を行っています」と、益子氏は述べました。
三菱自動車が水島製作所で生産を担うのは、これまでと変わりません。
振り返ってみれば、三菱自動車がルノー日産アライアンスの傘下に入ったのが、2016年10月。「NMKV」は、3社アライアンスが始まる5年以上前から関係を築き、軽自動車の開発、生産で協力し合ってきたことになるんですね。
「さまざまなアライアンスのかたちがあっていいと考えています。その意味で、『NMKV』もアライアンスの一つのかたちだと思います」と、益子氏は述べました。
三菱自動車が持つ60年の軽自動車づくりのノウハウ、日産が持つ先進技術。両社のそれぞれの特色を生かして生まれたのが、新型軽自動車です。その意味で、「NMKV」は、アライアンスの成功事例といえます。
肝心の3社アライアンスは、ご存じの通りの波乱含みですが、すでに三菱自動車と日産自動車の間では、着々とアライアンスの成功事例ともいっていい協力関係が生まれています。