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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日立・ホンダ系列のメガサプライヤーの意味

すでに報じられているように、日立製作所とホンダは、30日、日立の自動車関連事業の子会社である日立オートモーティブシステムズと、ホンダ系の部品メーカーであるケーヒン、ショーワ、日信工業を統合すると発表しました。

※会見に出席した各社トップ

ホンダが部品メーカー3社を完全子会社化したうえで、日立の完全子会社である日立オートモーティブシステムズが3社を吸収合併し、新会社を設立する予定です。

新会社は1年後をめどに設立する計画ですが、実現すれば、連結売上高は約1兆7000億円規模。デンソーとアイシンに継ぐ国内3位に浮上します。6兆円規模のボッシュなど超大手にはかなわないまでも、グローバルメガサプライヤーとしての体裁は整います。

日立とホンダが見据えるのは、CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)対応です。自動車産業はいま、100年に一度の大変革期にあるといわれます。新技術の台頭や開発競争の激化によって変化を迫られるのは、自動車メーカーだけはない。部品メーカーも、大きな転機を迎えています。

4社の統合によって、技術開発に加え、電動パワートレイン、シャシー、自動運転技術などの0シナジー効果が想定されています。データがモノをいう時代には、規模が重要になります。日立は、データから価値を創出する、デジタル技術を活用したソリューション、サービス、テクノロジーである「Lumada(ルマーダ)」に注力していますが、二輪、四輪のコネクティッド領域において、これを活用するといいます。

もっとも、今回の合併がどこまで効果を発揮できるのか、長期的にうまく進むのかどうかは、まだわかりません。スケールメリット、コスト削減効果、技術を持ち寄ることによるシナジー効果、開発効率の向上などは、どれもそう簡単なことではない。

1+1=2とはいかないでしょう。ましてや、3や4にするのは容易ではない。

ただ、あえていえば、企業文化からいうと、日立とホンダの相性は悪くないのではないか。これまでにもホンダは、16年に日立とスマートキー対応ポータブル呼気アルコール検知器を試作して発表したほか、17年7月には、日立オートモーティブシステムズと電動車両用モーターの合弁会社を設立しています。

日立オートモーティブシステムズのプレジデント&CEOブリス・コッホさんは、30日の会見で、「長期的な経営ビジョンを、私共は共有しています」と語りました。17年、日立幹部と会ったというあるホンダ幹部は、「彼らは“野武士”だから、われわれホンダと波長が合う。将来のビジョンを共有できる」と語りました。

国内の自動車産業が、日野、ダイハツ、マツダ、スバル、スズキとみなトヨタ頼みになりつつある中で、部品メーカーもデンソー、アイシンと、トヨタ系列のサプライヤー頼みになりがちです。

ホンダ系のメガサプライヤーが誕生し、世界で戦っていけるならば心強い話です。今回の提携が、日本の自動車産業全体の活気につながればいいですね。でも、それは相当甘い味方だと思いますよね。

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