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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタはなぜ、コロナ禍でも強いか

トヨタ自動車は12日、2021年3月期の連結純利益が前期比10%増の2兆2452億円になったと発表しました。2022年3月期の連結純利益見通しについても、前期比2%増の2兆3000億円になりそうだということです。新型コロナウイルスの影響、半導体不足など、自動車産業には逆風が吹いていますが、トヨタはなぜ、躍進を続けられるのでしょうか。


「当たり前のことを、当たり前にやった結果」と、チーフ・フィナンシャル・オフィサーの近健太氏は、決算会見の席上、述べました。

じつは、2021年2月11に行われた2021年3月期第3四半期決算発表説明会で、通期の営業利益見通しを2兆円に上方修正したときも、近氏は「当たり前のことを当たり前に、ただただ一生懸命頑張った成果だと思っています」と述べています。

いってみれば、「凡事徹底」――、なんでもないような当たり前のことを徹底的にやってきたからこその結果なのか。「積小為大」――、小さいことが積み重なって大きなことになる。まさしく、大きいことを成し遂げようと思ったら、小さいことをおろそかにしてはいけないということでしょうね。

近氏は、2021年3月期の実績について、リーマン・ショック後の「もっといいクルマづくり」への取り組み、原価改善によって損益分岐点を落としたこと、サプライチェーンの改善などをあげました。

「リーマン・ショック後から取り組んできた原価改善により、21年3月期はその前の期よりも損益分岐点を数10万台分下げることができました。引き続いて原価改善を進めるとともに販売台数を伸ばしていきます。また、今後は保有車のソフトウェアのアップデートの向上など、バリューチェーンでの収益向上も含めて損益分岐点を長期的に引き下げていきます」と、近氏はコメントしました。

2022年3月期の見通しについては、グループ全体の販売台数1055万台、連結純利益2兆3000億円の確保を見込んでいます。他社からすると、うらやましい限りの数字だと思います。

その要因として、「販売台数の回復が一つの大きな要因です」と、近氏は述べたうえで、「コロナ禍でできた改善や働き方改革を、今後いかに定着できるかの正念場です。しっかりと見通しを達成し、将来的な投資余力を生むためにも、この一年が大事な年になります」と述べました。

トヨタはこれからも、「当たり前のことを、当たり前に」、以前にも増して情熱をもってやっていくことになるでしょう。とにかくトヨタは「質実剛健」ですからね。

「当たり前のことを、当たり前にやる」のは口でいうほど簡単ではありませんが、当たり前のことを徹底できるカルチャーを持つからこそ、トヨタは結果を出せる。それができるのは、トップのぶれない意志があってこそだと思います。

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