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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタの〝ル・マン4連覇〟の秘密

22日に行われたル・マン24時間決勝レース。トヨタ・ガズー・レーシングの新型ハイパーカー「GR010 HYBRID」2台がレースを制し、チームはル・マン24時間レース4連覇を果たしました。レース後半戦、2台は燃料システムのトラブルに見舞われましたが、それを克服し、371周を走り抜いたんですね。チームはトラブルをどのように乗り越え、勝利を手にしたのか。

トラブルが発生したのは、レースが残り6時間を切ったころでした。セバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーの8号車の燃料システムにトラブルが発生し、給油しても規定の周回数をこなせなくなったんですね。

当初の予定よりも短い間隔で給油ピットを行いながら、ドライバーとエンジニア、メカニックは緊密なコミュニケーションをとりつつ、懸命に解決策を模索し続けました。

そして、ドライバーがコースの決められた場所で特定のセッティングを施すことで、8号車は予定された周回をこなすまでに戻りました。

その後、マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスの 7号車にも同じトラブルが発生。しかし、先に症状が出た8号車が解決策を見出していたため、小林とロペスはそれを理解して迅速に対処、7号車はリードを失わずに最後までトラブルをコントロールすることができたんですね。

ワンツーで決めたトヨタの4連覇。まさに、チームでつかみとった勝利といっていいでしょう。

トヨタ社長の豊田章男氏は、次のように祝福のメッセージを寄せています。

「一貴、セブ、ブレンドン。2位は悔しい結果だと思うけど、ワンツーフィニッシュをありがとう。8号車に出たトラブルを、セブが走りながら対処し、その方法を7号車にもシェアしてくれたと聞きました。セブ!そして8号車メンバーのみんなありがとう!」

勝利の背景には、豊田章男氏のレースへの熱烈な思いもあります。

レース経験を積み、極限を知ることが、「もっといいクルマ」をつくることにつながると、豊田章男氏は考えています。

過酷なレースの現場では、つねに限界を試されます。チームは真剣勝負に挑まざるを得ない。それでこそ、人とクルマは鍛えられるというんですね。

今回のル・マンでもチームは真剣勝負に挑みました。ドライバーとエンジニア、メカニックの全員がぜったいに走り切るという使命のもとに同じ方向を向いた。だからこそ、チームはトラブルを乗り越え、勝利を手にすることができた。

豊田章男氏がレースに熱い思いを寄せる理由は、ここにあります。過酷なレースの現場にこそ、「もっといいクルマをつくる」にあたっての本質がある――。豊田章男氏はそのように考えているんですね。

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