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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタ本決算に隠された〝メッセージ〟

びっくりしましたね。いよいよその時に向かって動き出したといっていいのか……。

11日、13:30からトヨタ自動車の22年3月期の決算発表がありました。売上高は前の期比15%増の31兆3795億円、営業利益は同36%増の2兆9956億円でした。新型コロナウイルスの感染拡大、原材料高、半導体不足という厳しい経営環境の中で、増収増益を成し遂げたのは、09年から続けてきた収益構造改革の成果といえるでしょう。

オンライン会見に出席したのは、取締役・副社長 Chief Financial Officerの近健太氏、執行役員・副社長Chief Technology Officerの前田昌彦氏、執行役員 Chief Communication Officerの長田准氏、経理本部本部長の山本正裕氏です。

記者からの質問に対して、これまでであれば、「豊田社長のお考えでは…」という発言が必ず出たものでしたが、今日は豊田章男氏の「あ」の字も出ませんでした。わずかに一度です。「トヨタではこれまで〝問題の発見〟について、豊田社長が一人でしてきましたが、これからは3人の副社長で行っていきます」と近氏が述べていただけでした。

これは、何を意味するのか。決算の内容は別にして、トヨタが〝ポスト章男〟に向けていよいよ動き出したのではないかと直感しました。つまり、この4月からスタートした3人の副社長体制を主導的に目指す方向です。

4人は、それぞれが自分の言葉で質問に答えていました。これは遠からず、〝ポスト章男〟の日がやってくるということです。そして、常識的にいえば、出席した2人の副社長のうち、どちらかが〝ポスト章男〟の候補といえるでしょう。

いずれにしろ、次期社長が誰になるかはまだわかりませんが、すでに章男氏は若い世代に社長のバトンを渡す準備を進めている。私の知る限り、5年以上前から、章男氏は〝ポスト章男〟について準備を始め、若手の有望株を鍛えてきました。早くて3年、遅くとも5年以内に社長交代がある。そう直感しましたね。

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