デンソーが、今月中にも、自動運転支援システムの実証実験を行います。
国内部品メーカー初です。
運転手がハンドルを握らなくても、
ボタン一つで、車が安全に動き、目的地まで連れていってくれるという、
完全な自動運転が実現するには、時間がかかるどころか、
法整備の必要性などを考えると、現段階では、夢のまた夢の話です。
むしろ、メーカーが自動運転に取り組むのは、
安全技術に寄与するところが大だからです。
実際、自動車メーカーや部品メーカーが取り組む自動運転技術は、
ドライバーの運転支援に応用されています。
例えば、トヨタのプリクラッシュセーフティシステムには、
自動ブレーキによる衝突回避支援や、
ドライバーの顔の向きを検知し、
よそ見や居眠りに対して警報するシステム、操舵回避支援、
そして、追突される前に、ヘッドレストを移動させて、
むち打ち障害の軽減を図るシステムなどが含まれています。
これらを実現するためには、
障害物を検知するためのミリ波レーダをはじめ、
前方の障害物の立体物認識情報を得るためのステレオカメラ、
運転者の顔の向きを撮影する車室内カメラ、
ブレーキやサスペンションのコントロール、画像処理など、
さまざまな技術が必要です。
デンソーは、
ステレオ画像処理ECU(エンジン・コントロール・ユニット)、
走行支援ECU、前方ミリ波レーダ、
プリクラッシュシートベルトECUなどを供給しています。
デンソーが、自ら自動運転支援システムの実証実験をするのは、
それらの技術やシステムについて、自らが磨きをかけるためです。
デンソーのような日本を代表する部品メーカーには、
その役割が期待されているのです。
部品メーカーが強くならなければ、
日本の自動車メーカーは強くならない。
この際、思い切っていいます。
デンソーあってのトヨタ――なんですから。