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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナの「モーションセンシングユニット」の実力

パナソニックは、26日、ロボット用の「モーションセンシングユニット」の技術セミナーを行いました。「モーションセンシングユニット」とは、簡単にいえば、産業用、サービス用ロボットの姿勢検出や位置推定を行うユニットなんですね。

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※「モーションセンシングユニット」を搭載したデモ機を抱える大森さん。デモ機を揺らしたり動かしたりしてもボトルの平衡は保たれ、倒れない。

「モーションセンシングユニット」の構成要素は、回転運動を検出する「3軸ジャイロセンサ」と、直進運動を検出する「3軸加速度センサ」、そして各センサの長所を生かして現在の正確な状態を推定するアルゴリズム(ソフトウェア)を使ったマイクロプロセッサの3つです。

「ジャイロセンサ」は、物体が回転している速度(角速度)を検出するセンサです。デジタルカメラなどの手振れ補正機能などに使われています。「加速度センサ」は、速度の変化(加速度)を検出するセンサで、スマートフォンやタブレットの縦置き・横置きを検知することによる画面の切り替えなどに用いられています。

さらに、これらのセンサの長所をいかすために、独自のアルゴリズムをソフトウェアで実現するためのマイクロプロセッサ、いわゆるマイコンを内臓し、縦、横、斜めなど、取り付け位置の使用環境や設置環境にかかわらず、複雑な動きを検知できる技術を組み込みました。

これまで、多くのロボットメーカーは、高精度な姿勢検出や位置推定を実現するために、「ジャイロセンサ」や「加速度センサ」などのデバイスを個別に購入し、それらを制御するソフトウェアを独自開発してきました。したがって、新しいロボットを開発するたびに、高精度な姿勢検出や位置情報を得るために、費用的にも時間的にも、多大なコストがかかっていたわけです。

その点、「モーションセンシングユニット」ならば、パナソニックの高精度センサと独自アルゴリズムをカスタマイズし、条件に合う仕様のユニットを簡単につくることができます。ロボットメーカーは、コスト低減、効率化が可能になるんですね。

技術セミナーでは、「モーションセンシングユニット」が搭載されたデモ機に、ボトルを載せて落下を防ぐデモンストレーションが行われました。

「まずはAGV(無人搬送車)やフォークリフトといった製品に搭載していただき、徐々にサービスロボットなどに用途展開を行っていきたい」
とは、パナソニック株式会社センシング事業開発部主幹でプロジェクトリーダーの大森正さんのコメントです。ドローンに搭載する飛行制御ユニットをはじめ、さまざまな用途が考えられます。

ロボティクスの市場は拡大しており、2020年には産業用のロボットの市場規模は1.1兆円、サービスロボットの市場は1.3兆円にのぼるとされています。産業用、サービス用にかかわらず、多様なロボットが誕生する時代です。パナソニックは、ロボットメーカーの“ティアワン”を狙っているということでしょうかね。

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