今月25日、パナソニックは、神奈川県藤沢市の「Fujisawa SST(フジサワ・サスティナブル・スマートタウン)」において、「Wellness SQUARE(ウェルネススクエア)」のオープン発表会・施設内覧会を行いました。
「Fujisawa SST」は、ご存知の通り、パナソニックが開発を進める次世代型都市「スマートタウン」です。旧松下電器の工場跡地約19ヘクタールに、戸建て住宅約千戸を建設し、太陽光発電設備と蓄電池を備え、住民には電気自動車(EV)や電動アシスト自転車を共同で使えるサービスを提供するなど、省エネに配慮した街づくりを目指しています。
学研、電通、東京ガス、NTT東日本、三井不動産など18団体が協議会に加わっています。
14年に“街びらき”し、すでに約300世帯が生活しているんですね。
今回発表された「ウェルネススクエア」は、医療・介護・教育・保育の機能を併せ持った多機能複合型拠点で、北館、南館の2館からなります。
南館は、クリニック、薬局、サービス付き高齢者向け住宅、訪問介護施設、認可保育所、学童保育施設、学習塾施設を併せ持った複合施設です。今年9月1日に開業予定です。
北館は、特別養護老人ホームと短期入所生活介護施設からなり、来年4月1日に開業予定です。
運営は、学研グループや調剤薬局大手のアイングループやクリニックが担い、パナソニックは資機材やソリューション、サービス、介護事業で培ったノウハウなどを提供します。
「ウェルネススクエア」の目玉は、サービス付き高齢者向け住宅全室に取り付けられた、「スマートエアコン見守りサービス」、いわゆる“見守りエアコン”です。実際にサービス付き高齢者向け住宅に取り付けられるのは初めてです。
“見守りエアコン”は、エアコンの横に取り付けられたセンサーによって、入居者の活動量や在室状況の確認、呼吸の有無など確認できます。“IoT”ですよね。
例えば、夏場の室内で入居者が熱中症や脱水症状を起こしていないか。従来、職員が一部屋ずつ巡回して確認する必要がありましたが、“見守りエアコン”なら、ネットワークを介してスタッフルームのパソコンやタブレット端末で状況を把握できます。
1階のスタッフルームから、各居室のエアコンの遠隔操作もできます。
介護部屋の場合はベッドにセンサーを向け、入居者の胸の動きを捉え、何時頃就寝し、何時に起床したのかなどを把握することもできます。
睡眠の質を把握して、例えば昼夜逆転症状が見られれば睡眠導入剤を処方するなど、入居者の健康管理に役立てられます。
少子高齢化が進むなか、高齢者や要介護者に必要とされるサービスを、いかに効果的かつ効率的に提供するかは、大きな課題です。“見守りエアコン”をはじめとする「ウェルネススクエア」の取り組みは、先進的とはいえ、まだまだ発展途上です。運用しながら改善を重ね、高齢化社会に一つの解を示せるかが問われています。