今年、スマホの覇権は誰が握るのか。
サムスン、アップルの2強の牙城を崩すと目されているのが、
もっか絶好調の小米科技(シャオミ)です。
“中国のアップル”といわれているシャオミは、
2010年創業のスマホメーカーです。
創業者でCEOの雷軍(レイ・ジュン)氏は、
“中国のスティーブ・ジョブス”の異名をとる人物です。
ユーチューブにアップされているプレゼンの動画を見ると、
服装から身振り手振りまで、そっくり。
シャオミの14年のスマホ販売台数は6110万台で、
サムスン、アップルに次ぐ世界3位のメーカーへと大躍進。
世界最大のスマホ市場の中国で、
すでにサムスンを抜き、シェアトップに立っています。
ロイター社の報道によると、シャオミの企業価値は、
460億ドル以上と評価され、非上場の技術系企業では世界一。
未公開企業では、上場前のフェイスブックに次ぐ高い評価です。
急成長の秘密はどこにあるのでしょうか。
シャオミは、「低価格ハイスペック」の商品力にあります。
低価格・高機能を両立させるために、
商品ラインナップを徹底的に絞り込み、大量生産によってコストを削減しています。
原価ギリギリの薄利多売戦略で営業利益率は2%未満などという報道もありましたが、
シャオミのスマホの価格は、ハイエンド機種でも2万円から3万円。
アップル「iPhone」やサムスン「GALAXY」の半額以下に抑えています。
シャオミが自社で行っているのは、企画と販売、顧客サービスのみです。
端末の設計や生産は、iPhoneのOEM生産で知られる、
台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)などの受託メーカーに外注するなど、
文字通りファブレス企業です。
販売戦略もユニークです。小売店舗を持たず、
自社サイト主体での販売にこだわっています。
広告費も使わず、中国版ツイッターの「微博」や、ネットの口コミを活用。
徹底的にスリムな経営体質を構築しています。
その勢いは、いまや中国にとどまりません。
14年8月、米グーグルでスマホOS「アンドロイド」の
製品管理担当副社長を務めたヒューゴ・バーラ氏を
海外事業担当の副社長に迎え入れ、グローバル展開に本腰を入れています。
14年7月進出したインド市場では、同年12月に特許侵害訴訟を受けて、
一次販売停止を命じられるなど、苦戦しているようですが、
台湾やシンガポールなど、アジア各国に進出しています。
15年には、東南アジアをはじめ、メキシコやトルコ、ロシア、ブラジルなどへの
進出を図る計画もあるといわれています。
シャオミは今後、スマホの覇権争いの主役に躍り出るのではないでしょうか。
それは多分、時間の問題でしょう。
「高機能・低価格」戦略は、スマホ業界の破壊的イノベーションそのもの。
さすがのサムスンも、タジタジといったところでしょうね。