ヤマダ電機に動きがありましたね。やっぱり、というのが感想です。
ヤマダ電機は、今月末までに37の店舗を閉鎖します。さらに、移転・改装などに伴う一時閉店も12店。郊外型の店舗を中心に採算の悪い店舗を閉鎖する一方、新規出店は都市部を重視する方針なんですね。
時代が変わったな、という印象を強く受けます。
家電量販店は、5年ほど前まで大きな存在感をもっていました。しかし、家電エコポインド制度や地デジ対応テレビの買い替え需要の後、反動減や消費増税の影響を受け、各社苦戦しています。人口減少による国内需要の低下も避けられません。まあ、正直なところ、家電市場は成熟し切っていますよね。家電で買いたいものは、ないですからね。
家電量販店の存在感は薄れつつあります。業界は、転換期を迎えているのです。
ただし、ヤマダ電機にとって、業界の現状は想定内かもしれません。3年前の12年にインタビューした際、当時ヤマダ電機会長で現社長の山田昇氏は、次のように語っていました。
「われわれは、製造小売業ではありませんから、商品による他社との差別化は難しい。ですから、家電量販だけでは収益性に限界があります。小売の論理にとどまらない、新たなビジネスモデルの構築が求められています」
ヤマダ電機が目をつけたのは、住宅分野です。
11年10月、中堅住宅メーカーのエス・バイ・エル(現ヤマダ・エスバイエルホーム)を買収。12年5月には、住宅設備製造販売を行うハウステックホールディングスを傘下に収めました。13年には、戸建注文住宅の建築、販売を手掛けるヤマダ・ウッドハウスを設立。住宅産業に活路を求めました。
ヤマダ電機は、従来の家電量販店の枠を超え、「スマートハウス構想」を描きました。家電、住宅、住器のすべてをグループ内から提供することで、リーズナブルな価格でスマートハウスを提案できます。
もともと、ヤマダ電機は、太陽光発電システム、蓄電池、電気自動車まで取り扱っていますから、スマートハウスと親和性があるというわけです。
ヤマダ・ウッドハウスの展示場を、今後5年間で、約160カ所まで増やすほか、エスバイエルホームの拡販にも力を入れる方針です。グループ全体における住宅事業の売上高は、現状約8%ですが、19年までに約20%に高める計画と聞きました。
ヤマダ電機は、住宅事業を軌道に乗せ、新たなビジネスモデルを構築できるのか。いまが正念場といっていいでしょう。