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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナの中国での“高級家電戦略”

パナソニックは今秋から、中国などアジアで白物家電の高級機種を本格投入する計画を明らかにしました。狙いはどこにあるのか。

日本製品がアジアで根強い人気なのは、訪日外国人による日本製炊飯器や日本製便座などの“爆買い”からも明らかですね。パナソニックも訪日外国人向けにビューティ商品や空気清浄器などの品目を増やし、訪日客向けの販売額を前年比280%増やしました。

なぜ、アジアの訪日客は、日本で“爆買い”をするのか。ズバリ、日本の商品に憧れを持っているからですよね。

ご存じのように、中国経済は過去10年にわたって10%前後の高度成長を続けていますが、これは、日本経済が20年近くにわたる高度成長を実現して世界第2位の地位を占めるにいたったプロセスと非常によく似ている。

高度成長時代の日本人は、おしゃれなダイニングキッチンなどを備えたモダンな生活に憧れを持っていた。いまのアジアの人たちは、まさにこうしたプロセスの真っただ中にいるといっていい。一つ上のライフスタイルへの強い憧れですね。

「現在、“中国版憧れプロジェクト”を進めているんですね」と、パナソニック常務の本間哲朗さんは、「シーテック2015」の会場で語りました。

デザイン性が高くて高品質な白物家電。家電とインテリアが融合した快適なライフスタイル。憧れの生活シーンを提案して、中国の人たちの心をググッとつかもうというわけです。

パナソニックが中国などアジアに展開するのは、日本発の高級家電「Jコンセプト」シリーズです。「Jコンセプト」シリーズは、世界最軽量の2.0キロの掃除機、無理なく手が届く槽の深さの洗濯機など、シニアの使い勝手を徹底検証してつくられていますが、そうしたかゆいところに手が届く、日本の知恵と美意識が、中国の富裕層の心をつかむと考えているのでしょう。
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中国で家電事業を展開するのは、「AP(アプライアンス)中国」です。ガラスドアの冷蔵庫やインバーター搭載エアコン、大容量の洗濯機などを投入して、高級路線を展開する計画です。

本間さんは、「家電は伸びない事業ではなく、グローバルの中では可能性のある事業」としたうえで、「18年度に売り上げ規模で世界3位を狙う」と、「シーテック2015」の会場で意気込みを語りました。

日本、中国、アジアで高級路線を強化するのは、販売規模や価格競争を避けて事業成長を図る狙いでもある。とくに、中国、アジアの家電事業の売上げ高は現在の5100億円から7200億円に拡大する方針です。

「ボリュームゾーンで収益を出す体力はないが、日本を中心としたプレミアム市場で存在感を出していきたい」とは、本間さんのコメントです。

パナソニックは、18年度に連結売上高10兆円を目指しており、家電事業は14年度比15%増の2兆3000億円に増やす。家電事業の成長のカギは、アジア、中国の高級路線がカギを握っているといえますね。

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