トヨタといえば、「カイゼン」。トヨタとデンソーなどグループ企業は12月1日、名古屋国際会議場で「オールトヨタTQM大会」を開きました。
昭和41年から毎年続くこの大会は、今年50回目を迎えました。今回は、「伝承と変革」がテーマです。大会には、販売店、仕入れ先など300社、約4300人が来場し、80のブース事例と32のステージ事例が発表されました。
大会では冒頭、張富士夫名誉会長が「トヨタのものづくりと人づくり」と題した記念講演を行い、トヨタ生産方式の生みの親の大野耐一氏や側近だった鈴村喜久男氏とのエピソード、トヨタの改善の基本である「5回のなぜ」の重要性などを語りました。
※講演する張富士夫氏
よく知られるように、トヨタグループのTQM活動は、時代の流れとともに進化してきました。90年代に入り、これからは「仕事の質」と「経営の質」が求められることをキャッチし、トヨタは94年、正式にTQM(Total Quality Management)の導入を宣言しました。
以来、95年に新任役員TQM、98年にTQM分科会活動、2000年にマネジメントの質の向上手法導入、01年にプロセス改善手法導入、08年に自工程完結の考え方導入といったように、経営トップから現場にいたる全員参加の品質改善活動へと発展させていきました。
※会場の様子
トヨタ社長の豊田章男さんは、「もっといいクルマをつくろうよ」といっています。「もっといいクルマ」をつくるには、「もっといい仕事」をしなければいけない。当然、仕事の質を上げていかなければいけないわけですね。そして、「カイゼン」のノウハウの共有が求められます。
トヨタの各職場では、日ごろから重要課題や問題解決のために、「小集団カイゼン」や「プロセス改善」などを行っています。また、今回のTQM大会のように、好事例から学び合う啓発コミュニケーション活動も行われています。
こうした人の力による地道な活動と同時に、これからはAI(人工知能)を活用したカイゼン活動などが行われることが予想されます。
とりわけ活用が期待されるのが、トヨタ生産方式におけるAIの活用です。AIは、産業を大きく変える力を秘めています。それだけに、AIによるトヨタのTQMの進化に期待が持てそうです。