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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

日産のスキラッチ副社長のメッセージ

日産自動車副社長のダニエレ・スキラッチ氏は24日、横浜市の日産グローバル本社で記者会見し、目標とする日本での市場シェア2位を確実にすると明言した。

※日産副社長のダニエレ・スキラッチさん

スキラッチ氏は、イタリア生まれで、母国語に加えて、英語、フランス語、スペイン語が堪能だそうです。ダイバーシティを絵に描いたようなビジネスマンですね。

1993年にルノーに入社、営業を含むさまざまな職務を歴任後、2001年にフィアットに入社、イタリアのアルファロメオブランドを統括しました。

02年には、トヨタモーターヨーロッパに入社し、欧州の市場開発担当ジェネラル・マネージャーを務めました。その後、トヨタとレクサス・ブランドの要職を歴任し、11年に日産のグローバルマーケティング、セールスを統括する副社長に就任しました。

この4月からは、日産の日本・アジア・オセアニア事業を担当しています。

スキラッチ氏の役割の一つは、日産にとって長年の課題である「国内市場2位」を確実にすることなんですね。

「大切なのは、国内でのポジションをきちんと維持することです」と、スキラッチ氏は、コメントしました。

日産の16年度の登録車販売台数は前年度から11・1%増えて41万7404台。軽を除いた登録車では2位を獲得しました。

牽引役は、自動運転技術「プロパイロット」を搭載したミニバン「セレナ」と新駆動技術「eパワー」を搭載した小型車「ノート」です。

課題は、16年度に獲得した登録車でのシェア2位を引き続き、維持することができるかどうかです。

「セレナ」「ノート」の成功事例に倣い、「今後もこのやり方を続ける」(スキラッチ氏)ために、17年後半、新型「リーフ」を日本に投入する計画であることを、スキラッチ氏は発表しました。

電気自動車「リーフ」は、2010年、世界初の量産EVとして日米で販売がスタートしました。次期モデルは、高速道路の単一車線で一定条件下の自動運転をサポートする「プロパイロット」やコネクテッドカーの機能が搭載されます。

「新型リーフは、自動車業界のアイコンです。日産は、EVのリーダーになります」と、スキラッチ氏は新型「リーフ」に期待を込めました。

また、国内市場については、販売台数の伸びが止まったという声がでていますが、スキラッチ氏は国内市場を悲観的には見ていない。

「国内市場は、500万台と安定して推移しています。2016年度は、3%伸びました。今後も大きな減少はないと見ています」

実際、16年度の国内新車販売台数は、前年度比2.8%増の507万7904台となり、2年ぶりに500万台を回復しました。軽自動車は減少したものの、小型車を中心に登録車の販売が伸び、全体ではプラスを確保しています。

日本の自動車メーカーはこのところ、新興国戦略を加速させていますが、グローバル戦略で日本車の強みを示したい日本の自動車メーカーにとっては、足元の国内市場で販売台数を伸ばすことも引き続き重要です。

新型「リーフ」の投入によって、日産が引き続き国内市場2位を維持し、その地位を確固たるものにできるかどうか。それは、日本の自動車メーカーの可能性を占う試金石ともいえるのではないでしょうかね。

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