ロングセラー商品への挑戦はいまも続く……というべきか。
パナソニックの頑丈フィールドモバイル、「TOUGHBOOK(タフブック)」シリーズに新しいラインアップが加わります。12.0型デタッチャブルPCの「CF-33」が、それです。ヒットの〝継続作戦〟の現場を見てみましょう。
パナは5日、「タフブック」新製品発表会を都内で開催しました。「タフブック」は、1996年に発売されて以来、今年で21年目を迎えるパナのロングセラー商品です。
米国国防総省の納入基準に準拠した高い耐久性を実証し、米国軍やアメリカ各州の警察に採用されたことで知られていますね。
日本国内でも警察、消防、自衛隊などの現場を中心に導入されており、現場向け頑丈ノートPCとしては、15年間世界シェアナンバーワンを維持し続けています。
発表会の冒頭、今年4月にコネクティッドソリューションズ社社長に就任した樋口泰行さんは、次のように述べました。
「じつは以前、マイクロソフトにいた時に、『タフパッド』の発表会にゲストとして出席したことがありますが、まさかその時は自分が今この場所で発表会の場に立つとは夢にも思っていませんでした」
今回発表されたのは、「タフブック」の20周年記念モデルで、タフブックの集大成として開発されたフラッグシップモデルです。アメリカでは、すでに5月下旬から販売が開始されており、日本での販売開始は9月下旬が予定されています。
特徴は3点。1点目は、画面を取り外して、タブレットとしての使用が可能なデタッチャブル構造。2点目は、バーコードリーダー、シリアルコネクター、リアカメラ等のオプションをカスタマイズ可能な拡張性。3点目は、屋外の太陽光の下でも見やすい約1200cd/㎡の高輝度液晶ディスプレイと、カスタイマイズ時最大25時間の長時間駆動といった、現場のニーズにマッチする視認性と駆動性なんですね。
「『CF-33』は『作業現場』を革新することに加え、『人』の業務を革新するため、モビリティ性を持たせました」
と、コネクティッドソリューションズ社常務の坂元寛明さんはコメントしました。
つまり、「作業現場」に固定して使うだけではなく、画面を取り外してタブレットとして持ち歩くこともできるわけですよ。
物流業者や警察、消防隊は、クルマの中に「CF-33」を固定させておき、クルマから降りて個人宅を訪問する際はタブレットとして使う。したがって、これまでのように2台、3台とPCやスマートフォンを持つ必要がないんですね。
課題は、下火の国内法人向けパソコン市場で、どれだけ健闘できるか――ですよ。「タフブック」シリーズはグローバルで40万台売れているにも関わらず、日本国内での販売は4万台にすぎませんからね。
期待されるのは物流業界ではないでしょうか。物流業界では、倉庫でのピッキング作業のほか、バーコードリーダーによる商品の読み取り(棚卸)作業など、配送の現場におけるPCの活用が進んでいます。
樋口さんはコネクティッドソリューションズ社の役割を製造、物流、流通、公共事業のパートナーとして、「現場のお困りごとを解決する」ことと位置づけています。
物流現場の「お困りごと」といえば、人手不足です。現場での作業はタブレット、現場までの移動時間や事務所に戻ってからの作業はノートPCといったように、業務の効率化が図れれば、人手不足解消の助けにつながるかもしれませんね。
日本の現場にフィットしたソリューションを考え、いかに強い尖った商品を開発できるか。引き続いてロングセラー商品として生き続けるカギはそこにありそうですね。