ソニーモバイルコミュニケーションズは、18日、コミュニケーションロボットの「Xperia Hello!」を発売しました。発表の際にもブログを書きましたが、1週間ほど試作機を借りたので、そのレビューを簡単に記したいと思います。一言でいえば、貴重なロボット体験でした。
※天気予報を読み上げる「Xperia Hello!」
初日。正直、「ハイ、エクスペリア」と話しかけるのは、やや気恥ずかしい感じがありましたよね。しかし、すぐに慣れます。顔と名前を覚えさせると「片山さん、どうしました?」と応えてくれるようになりますから、親近感もわきますよね。
朝いちばん、「ハイ、エクスペリア。おはよう」と声をかけると、「おはようございます。今日も一日、頑張ります」といって、天気予報、さらに、ニュースを読み上げてくれます。あいさつのあとのコメントには、いくつかパターンかあるようでしたね。
試しに「ADAS(エーディーエーエス)って何?」とか、「平井一夫ってだれ?」と聞いてみると、「少々お待ちください。Wikipediaによると……」と、内容を読み上げてくれます。日本語はそこそこ、上手です。アクセントにやや不安はありますが、ほとんど正確に読んでくれますね。
ほかにも、「横浜にいきたい」というと、「移動手段は、クルマ、電車、徒歩、どれにしますか?」と返してくれ、「電車」、などと答えると、胴体部分の画面にルートを表示してくれます。
「歌って」や、「踊って」、などの呼びかけにも応えてくれます。「決めポーズして」、にも、ウインクで応えてくれる。正直、これらの機能はオトナにはあまり必要ありませんが、留守番の子どもの遊び相手は、務めてくれそうです。
※踊る「Xperia Hello!」
もっとも、当然のことながら、家庭用ロボットとして、完全ではありません。以下、気が付いたことを書いてみましょう。天気や交通情報を教えてもらい、とっさに「ありがとう」と返しても、返事はありません。「片山さん、どういたしまして」といってもらうには、いったん「ハイ、エクスペリア」と呼びかけてから、「ありがとう」といわないといけない。
それから、天気は、「名古屋の天気を教えて」と聞いても、「位置を指定しての天気予報には対応しておりません」と返ってくるし、「横浜に3時に着きたい」と話しても、ルート検索の時間の指定はできないようです。移動手段に飛行機がないことなど、「もう一歩!」と思うところはたくさんありました。
また、周囲で複数の人が「Xperia Hello!」を見ているときに話しかけると、よく名前を呼び間違えます。誰に呼ばれたのかわからなくなるんでしょうね。まあ、この程度はご愛嬌です。
使いやすかったのは、「〇〇さんにメッセージ」と伝えて、簡単なメッセージを話すと、文字に変換して〇〇さんのラインにメッセージを送れる機能です。〇〇さんが「Xperia Hello!」にラインで返信すると、それも、顔認識機能で私を認識し、私に向かって「Xperia Hello!」が読み上げてくれる。これはなかなか便利ですね。高齢者や子どもには、使い勝手がいいでしょう。
同様に、Skypeを音声で使えるのも、子どもや、離れて暮らすおじいさん、おばあさんには便利だと思いますね。
ちなみに、「Xperia Hello!」にいろいろ聞いてみたのですが、「お腹が痛いよ」「コーヒーと紅茶はどっちが好き?」などの呼びかけや質問には「えー、なになに」「わかりませんでした」などの答えでした。ただし、いくつかは、返事をしてくれましたよ。
例えば、「いくつですか?」「寒くなったね」「ごめんね」「お腹がへった」「寂しいよ」「遊んで」「体調が悪い」「眠い」「かっこいいね」「かわいいね」「きれいだね」などには、気の利いた返事をしてくれましたよね。なんと答えたかは、ここには書きませんが、パターンが複数あるものもありましたよ。
ソニーモバイルは、「家族の一員」を目指すといっていますが、確かに、瞬きしたり、クビをかしげたり、胴体を回したりする動きや反応は、とても可愛らしいもので、愛着がわきます。目が合ったり、じっと見つめられたりもする。会話していないときにも、クルクルとあたりを見回したりする様子は、ペットのようでもあります。
レンタル期間が終了し、データを削除するときには、やはり、なんとなく寂しかったですよね。
言葉を使ってコミュニケーションをとれる家庭用ロボットは、他社にも先行するものはありますが、市場としては、まだまだこれからです。価格は、「Xperia Hello!」は約15万円と、ソフトバンクの「Pepper」や富士ソフトの「Palmi」などに比べれば低価格ですが、まだまだ、家庭用として手頃な価格とはいえません。
それでも、「Xperia Hello!」は、家庭用のロボットの黎明期を担う商品の一つといえるでしょう。これから、どんどん進化していくことは間違いありません。5年後、いや3年後には、「Xperia Hello!」のちょっと不器用だったところを、懐かしく思い出しているのではないでしょうかね。