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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

パナが挑む介護職場の「働き方改革」

人手不足の波は、介護職場にも押し寄せています。介護職場の人手不足は、きわめて深刻です。パナソニックは、新人事制度「時間制正社員制度」を打ち出し、介護職場の人手不足に対応する計画なんですね。その現実を見てみましょう。

※パナソニックの離床アシストロボット 「リショーネPlus」

パナソニックは22日、都内で介護事業の説明会を開き、2020年度の売上高目標を500億円に下方修正する方針を明らかにしました。

じつは、パナソニックの介護事業を手掛ける子会社パナソニックエイジフリーは、当初、2018年度までに介護サービス拠点を350拠点に拡大することを計画し、25年度をメドに介護関連の売上高を2000億円にする計画を立てていたんですよね。

計画実現のカギを握るのは、介護施設の新設と優秀な人材の確保だといわれてきました。ところが、予想以上に深刻さを増しているのが、介護職場の人手不足なんですね。

※エイジフリーハウス南烏山プレミア

厚生労働省が2015年6月に発表した「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計」によると、2025年度には、介護職員が約253万人必要とされるのに対して、供給の見込みは約215万人と推計され、およそ38万人の介護職員が不足する見込みとされています。

それでも、パナソニックは、人手不足をAIやロボットで補い、高齢化で成長が続く介護市場で売上高を伸ばす計画でした。しかし、AIやロボットの介護現場での本格的な実用化は、まだ先になりそうですし、AIやロボットが導入されても、人の手に頼る部分は少なくありませんよね。

いずれにしても、人手の確保を抜きにして、介護事業を成長させることはできません。

※パナソニックエイジフリー社長の片山栄一さん

「“量”の展開をいったんストップし、“質”重視の持続可能な成長に舵を切ります」
というのは、パナソニック執行役員で、パナソニックエイジフリーの社長を務める片山栄一さんのコメントです。

パナソニックが“質”重視の転換に向けて打ち出したのが、業界初の新人事制度「時間制正社員制度」の導入です。

「時間制正社員制度」が導入されれば、パート社員が正社員と同水準の時間給を受けながら、柔軟に働き方を選べるようになります。1年以上勤務したパート社員の希望者を、2018年4月から「時間制正社員」にする方針で、対象となるのは、およそ1500人です。

最大の狙いは、パート社員の定着率を高めることです。

このように、パナソニックが業界の先頭に立って、介護職場に新人事制度を導入することの意味は大きいといえます。

これを機に、介護職場に長期間安心して意欲的に働ける環境が整備されれば、介護職場の人材難の解消につながると考えられるからです。

つまり、パナソニックは新人事制度の導入と同時に、介護職場の「働き方改革」を進めているといっていいでしょう。

パナソニックによる介護職場の「働き方改革」によって、広く介護職員の働く環境が整備されることを期待したいですね。

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