パナソニックは、今年3月、創業100年を迎えます。
設立されたのは、1918年です。戦前、戦中戦後、高度経済成長、バブル崩壊、さらに失われた20年と、100年の間に、パナソニックをとりまく環境は変わり続けてきましたよね。しかし、企業をとりまく環境変化は、いまや、より激しく、よりスピーディーになりつつありますね。
というのは、世界で進行する、急速なグローバル化、デジタル化、IT化、ネットワーク化などの影響です。激しい環境変化にさらされ、近年はまた、パナソニックの歩んできた100年間とは大きく異なるビジネスモデルやサービスが次々と生まれては消えました。
CESが、もはや“家電見本市”ではなくなったことからもわかるように、パナソニックの本業であった家電の世界には、ITや通信、ネットワーク、半導体、さらに自動車をはじめとする他の製造業やサービス業などあらゆる産業が入り込み、もはや境界はあいまいで溶けてしまいましたね。
このような環境のなかで、次の100年間に、さらなる成長を目指すことは簡単ではないことは、容易に想像されますよね。
例えば、2012年に社長に就任した津賀一宏さんは、B2Bに大きく舵を切りました。松下電器の時代を知る人には、パナソニックといえばテレビや冷蔵庫、洗濯機の印象が強いですが、現在「高成長事業」に位置付ける事業には、「車載二次電池」や「ADAS(先進運転支援システム)」が含まれます。
直近の30年間、多くの日本企業と同様、パナソニックももがき続けてきました。しかし、そのなかでも、次の時代を見据えて、確かな布石は打ってきた。例えば、2000年以降、中村邦夫社長のもとで大胆な構造改革を行ってきました。08年には、社名を「パナソニック」に変更。10年には、三洋電機と松下電工の完全子会社化を決定。世襲を脱したことも、大きなポイントだったでしょう。
これらの布石がなければ、いまのパナソニックはありません。わかりやすい例をあげれば、三洋の電池の技術があったからこそ、車載電池におけるいまの地位があるわけです。
次の100年といっても、100年先のことなど、見当がつきません。大切なのは、いま見える少し先の未来に向けて、確かな布石を打ち続けていくことでしょう。そして、つねに変化、進化を続けていくしかありませんね。