ホンダの八郷隆弘社長は2月24日、都内で記者会見を開き、就任当初に掲げた「グローバル6極体制の進化」と「ホンダらしい商品開発」の必要性を改めて語りました。
ホンダは、世界を北米、欧州、日本などの6地域に分け、それぞれの地域で現地生産、開発などを推進する「グローバル6極体制」を進めてきました。つまり、各地域の需要に地域ごとの生産で対応する体制です。狙いは、各地域の自立です。
ところが、各地域は自立どころか、積極投資の結果、生産能力の過剰に陥りました。
例えば、日本市場です。ホンダは長らく、モノづくりの基盤維持に欠かせないとして、年間の生産能力100万台を死守してきました。ところが、「フィット」の相次ぐリコールや消費増税後の駆け込み需要の反動などで、国内販売台数は低迷したままです。ちなみに、15年の国内生産は73万台ですが、それでも生産能力は過剰です。
生産能力の過剰は、国内だけの問題ではありません。グローバルでも80万台以上の余剰があるといわれます。
「開発の企画段階で販売量の計画が十分でなかったということです。企画時の計画精度を上げなければいけないと思っています。生産ギャップは各地域で異なりますが、米国は少し供給が足りないところがあり、日本から供給しようとしています」
と、八郷さんは記者会見の席上、語りました。
さしあたって、日欧の余剰を解消するには、好調な北米の需要をとらえることですね。
また、グローバル6極体制での四輪事業の方向性として、昨年11月に米国で発売した新型「シビック」、「フィット」「アコード」「HR-V」「CR-V」といった、グローバルモデルの強化を目指すとしています。
世界中の工場で生産できるグローバルモデルを強くして、フレキシブル生産を実現することによって、世界で発生する需要変動をうまく吸収するのが狙いです。
「日本は、地域の需給バランスに応じて、柔軟に他地域の生産、供給をサポートできる拠点とします」
と、八郷さんは述べました。
八郷さんは、購買、生産のキャリアを持ちます。四輪を中心とした体質強化に向けて、そのキャリアをどう生かすか。
八郷カラーを前面に出していいのではないでしょうか。