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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

サムスンはなぜ、営業利益5兆円を超えられたのか

営業利益5兆4000億円を稼ぎ出したサムスンに対して、ソニーは18年3月期の連結営業利益が7348億円、パナソニックは3806億円。日本の自動車メーカー7社の営業利益を合計しても、4兆4650億円にすぎません。この差をどう見たらいいのでしょうか。

韓国のサムスン電子は、2017年12月期の連結決算で営業利益が過去最高の53兆6500億ウォン(約5兆4000億円)となり、韓国企業として初めて5兆円台の大台に乗せました。

背景には、サムスン電子の半導体事業が、データセンターのサーバー向け半導体メモリの需要増を背景に、躍進を続けていることがあります。

営業利益が5兆円を超える企業は、アップルなど世界でも数社にすぎません。ちなみに、アップルの17年度の連結営業利益は613億ドル(約6兆8600億円)です。

サムスン電子は、営業利益5兆円超えを実現したことで、アップルに並ぶ世界有数のグローバル優良企業の仲間入りを果たしたことになるんですね。

対する日本企業はというと、トヨタ自動車が2018年3月期に営業利益2兆3998億円を計上しましたが、それでも、サムスン電子の半分に届いていません。日本の自動車メーカー7社の営業利益を合計しても、4兆4650億円にすぎません。

しかも、日本企業で営業利益が1兆円を超えるのは、トヨタのほか、日本電信電話(NTT)、ソフトバンクグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループの5社だけです。

つまり、製造業で営業利益が1兆円を超えるのは、営業利益2兆3998億円のトヨタ1社だけなんですね。

サムスン電子はなぜ、営業利益5兆4000億円を稼ぎ出すことができたのか。半導体市況が悪いときにも、投資の手を緩めることなく、むしろ積極的に投資を続けたことにあります。これは、現在、病床にある二代目会長の李健熙会長の強いリーダーシップなしにはありえません。

「半導体などへの金額の大きい投資判断は、サラリーマン社長では下せません。オーナー会長でなければできないでしょう」と、事情通はいいます。

加えて、李健熙会長が1997年に下した「捨てよう」経営によって、サムスンは「過去」を断ち切ったんですね。グループで4万人以上の雇用調整が行われ、グループ会社は140社から83社に縮小されました。

いうまでもなく、日本の経済、雇用を支える屋台骨は、自動車産業と電機産業です。サムスン流の大胆な構造改革をそっくりそのまま取り入れることはできないまでも、再成長に向けた思い切った改革が求められます。

自動車メーカー各社は、「100年に1度の大変革期」を前に攻めの姿勢で競争力強化を図ろうとしています。また、電機メーカー各社は、「選択と集中」で体質改善を進めているほか、「稼ぐ力」をつけるための構造改革にも取り組んでいます。

日本企業が営業利益5兆円のレベルに到達するには、まだまだ長い道のりと超えるべきハードルがあるのは確かです。それこそ10年単位の経営努力が必要になってくるでしょう。

来週以降、第1四半期決算の発表が本格化します。各社の努力がどこまで数字にあらわれてくるか。再成長への兆しが見えるかどうか。期待したいところです。

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