これは、日本の技術力を世界にアピールする絶好の機会です。日本自動車工業会の加盟会社10社が、東京五輪の開催直前に、約80台の自動運転車両による、自動運転レベル2~4の実証実験を公開するというのです。
※日本自動車工業会の豊田章男会長
日本自動車工業会は20日、2020年7月6日から12日の計7日間、自動運転の実証を公開すると発表しました。
参加するのは、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、三菱自動車、スズキ、スバル、ダイハツ、ヤマハなど、自工会加盟社のうち10社です。
実証実験が行われるのは、羽田空港地域、羽田空港から臨海副都心・都心部、臨海副都心地域の3つのエリアです。
羽田空港地域では、公共交通機関であるバスをモデルケースとした実証・デモ、羽田空港から臨海副都心・都心部では、高速道でのインフラ連携の実証・デモが行われます。
臨海副都心地域では、交通量の多い混合交通の公道における自動運転や緊急停止、乗用車、小型モビリティなどさまざまなタイプの自動運転車両による実証・デモが行われます。
東京オリンピック・パラリンピックの開催直前に、このような自動運転の実証が公開されることは、世界に日本の技術をアピールする絶好の機会です。また、日本が、未来のモビリティ社会の姿を世界に向けて発信することは、大きな意義がありますよね。
指摘するまでもなく、自動運転は、交通事故を減らすという大きな目標だけでなく、高齢化に伴う移動弱者問題のほか、地域活性化など、いまの世の中が抱えているたくさんの課題を解決する手段としても注目されています。
しかし、現時点では、自動運転に対する期待よりも、自動運転に対する不安のほうが、まだまだ大きいのが現状です。
利用者や社会が自動運転を受け入れられなくては、自動運転を社会課題の解消につなげることはできません。その意味で、いま、何よりも重要なのは、自動運転の社会的受容です。
自工会が主催する自動運転の実証では、試乗イベントも開催される計画です。実証で用意される自動運転車両のレベル4といえば、「高度運転自動」に相当します。実証車両は、安全性に配慮してドライバーが乗車しますが、それでも、事実上の完全自動運転を体験できるのは貴重な機会といっていいでしょう。
自動運転は、すでに社会に取り入れられるところまで技術開発が進んでいます。10社80台が参画して行われる実証は、そのことを国内外にアピールし、利用場面を増やしていくための機会になるはずですね。