2月4日の東京株式市場で、ソニーの株価は前営業日比8・1パーセント安の5055円と大きく落ち込みました。15年9月以来の下落率です。5日も続落し、終値は5037円です。
ソニーは1日、2018年度第3四半期決算を発表しました。全体としては好調です。売上高は2兆4018億円で、前年同期比10%の減収となったものの、営業利益は3770億円で7%の増益。4月から12月期の3期分の連結業績は、純利益が前年同期比63%増の8284億円となり、同期間として過去最高益を達成しました。
また、2018年度通期の純利益予測については、従来見込みの前年比44%増の7050億円から、さらに1300億円上積みし、過去最高の8350億円の見込みとしました。収益の減少を懸念する向きもあるようですが、会社全体の「稼ぐ力」は着実についているとみていいでしょう。
では、なぜ株価は下がっているのでしょうか。
事業セグメントを見てみると、ウカウカしていられない要素がたくさんあります。例えば金融分野は、ソニー生命の特別勘定における運用損益の悪化が響き、前年同期に比べて56%減の2097億円の大幅減収となりました。
それから、15年度から3年連続の赤字が続いているモバイルコミュニケーション分野は、かなり深刻な状態が続いています。売上高は、日本、欧州、東アジアにおけるスマートフォンの販売台数の減少の影響を受けて、前年同期に比べて37%減の1372億円、営業損失は155億円の赤字となりました。
ソニーが、なぜ、モバイルコミュニケーション分野を続けるのかといえば、今年から商用化がスタートする「5G(第5世代移動通信システム)」技術を確立するためです。それにしても、ここまで赤字を垂れ流し続ける事業を続ける必要があるのかどうか……。
「現在の赤字は、10月時点でお話しした予想に対してかけ離れたものではありません。構造改革についても順調に進んでいますので、2020年に損益を均衡させる、それまでに対17年比50%ぐらい費用を削減する。この方向については変更ありませんし、計画通りに進行しています」
会見の席上、代表執行役専務CFOの十時裕樹さんはこのように述べて、減収が織り込み済みであることを強調しました。が、スマートフォン市場のさらなる減速が予測される今日、ソニーにとって大きな悩みの種であることは間違いないでしょうね。
また、稼ぎ頭の半導体分野も、スマートフォン市場の減速などの影響を受けて、前年同期比減収減益。通期見通しも従来予想の9100億円から4%減の8700億円に下方修正しました。
半導体と並ぶ稼ぎ頭のゲーム分野にも、陰りがみえはじめています。ソフトウェアの増収などにより、前年同期比10%増の726億円の増収となりましたが、発売開始から約6年が経過した「PS4」など、ハードウェアの減収等により123億円の減益。通期見通しには変更はありませんし、ソフトウェアやネットワークの収入は増え続けているといいますが、次世代ハードの発売まで、より一層のテコ入れが求められるのは確かでしょう。
ソニーが復活のみならず、新たな成長フェーズへの飛躍を成し遂げられるかどうか。社長兼CEOの吉田憲一郎さんの手腕が、いよいよ問われるということでしょうかね。