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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

トヨタ、コロナ禍でも黒字確保

トヨタは、2020年4~6月期の連結決算で黒字を確保しました。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、各地域で販売が減少したにもかかわらず、なぜ、トヨタは黒字を確保できたのか。

トヨタ自動車が6日、発表した2020年4~6月期の連結決算は、売上高が前の年の同じ期に比べて40.4%減の4兆6007億円、営業利益が同98.1%減の139億円、純利益が同74.3%減の1588億円でした。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、日本の自動車メーカーの2020年4~6月期の決算は、おしなべて厳しい内容でしたが、トヨタは、営業損益、純損益ともに黒字を確保したんですね。

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう販売台数減少の影響を受けているにもかかわらず、トヨタが、黒字を確保した理由はどこにあるのか。

継続して進めてきた原価低減などの取り組みによって体質が強化されたことが要因といっていいでしょう。

社長の豊田章男氏はかねてから、「原価低減の力を磨くことは、いまを生き抜くためでなく未来を生き抜くためにこそ必要」と述べてきましたが、コロナ禍にあって黒字を確保できたのは、継続的に原価を抑える取り組みを進めてきたことの成果といえるでしょう。

加えて、2020年4~6月期のトヨタ・レクサスの販売台数が、前年同期とくらべて69%となる170万6000台となり、5月時点で見通していた60%を上回って推移していることも要因としてあげられます。

中国市場で「カローラ・レビン」「RAV4」などの販売が伸びているほか、日本や欧州、北米が予想より早く回復に向かっているんですね。

2021年3月期の業績見通しは、売上高が前年比19.6%減の24兆円、営業利益が同79.2%減の5000億円は据え置き、これまで出していなかった純利益については前年比64.1%減の7300億円としました。

また、2021年3月期のグループの世界販売台数見通しは、890万台から910万台に引き上げました。

新型コロナの影響により先行きが不透明な中で、トヨタが今回、これまで出していなかった純利益の見通しを開示したのは、一つの基準を示すことによって、アフターコロナの経済復興の牽引役として、日本経済を回す覚悟を示すためと見ていいでしょう。

また、販売店や仕入先などが、それによって何らかの計画ができるという理由もあるでしょう。

日本のみならず、世界中の企業がコロナ禍で厳しい状況を強いられていますが、一つの基準を示すことの意味は小さくありません。

このコロナ禍を落ち着いて乗りこえていこうという、トヨタの強い意思が感じられます。

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