地域創生が全国的な課題となるなかで、
各種メディアで一躍脚光を浴びている町があります。
JR徳島駅からバスに乗ること1時間あまり、
四国の山間奥深くに佇む小さなまち、神山町です。
テレビなどでも紹介されているあの町ですな。
神山町はもともと、スダチの生産量日本一を誇るまちとして知られていましたが、
農林業のほかには、これといった産業がありませんでした。
多くの地方自治体と同様、急速な過疎化に悩まされ、
人口は最盛期1955年の2万1000人から、
2010年には約6000人と、3分の1以下に減少。
いま流行りの言葉でいえば、元・総務相の増田寛也さんのいう
“消滅可能性都市”そのものだったといっていいでしょうな。
ところが、神山町はここから大逆転が始まります。
そのキッカケといえば、2010年以降、ITベンチャーを中心に、
東京や大阪など大都市に本社を置く企業9社が、
空き家として放置されていた古民家をサテライトオフィスとして活用したことです。
映像作家や工業デザイナー、プログラマーが移住してきたおかげで、
11年には、町の発足以来はじめて、転入超過を記録しました。
急速な過疎化から一転、人口増へと舵を切ることに成功したわけですな。
移住者がいったん増加しはじめると、まちの再生は加速します。
その中心的役割を果たしたのは、「創造的過疎」をコンセプトに掲げ、
持続可能な地域づくりを進める地元のNPO法人「グリーンバレー」ですな。
「グリーンバレー」は、まちの活力を高めるために必要な働き手や起業家を、
古民家・土地付きで公募するプロジェクト「ワーク・イン・レジデンス」を立ち上げ、
企業や人々の誘致に力を入れました。問題は簡単、何事もやる気ですな。
その結果、神山町では、前述しやようにITベンチャーのほか、
石窯焼きのパン屋や歯医者、南仏地中海料理を提供するカフェ&ビストロなど、
新たな店舗や施設のオープンが相次いでいるんですな。
一言でいえば、魅力的な“場”を用意し、
ヒトがヒトを呼ぶ仕組みをつくったことで、
再生の糸口をつかんだといったところでしょうな。
いま、やる気と書きましたが、
住民が主体的に動いてこそ、村や町は動き始めます。
他力本願ではなく、自力本願ですな。