先週、「パナの監視システムは五輪警備で活躍するか」で、テロなどの犯罪を防ぐためのハイテク技術を使った警備のレベルアップ、効率化について触れました。また、昨日は、燃料電池車について書きました。
自動車と警備に共通していえるのは、G7伊勢志摩サミット、さらには東京五輪をにらんで、開発競争が激化していることです。
今日は、再び、パナソニックの警備に関する技術について書きます。
パナソニックは、9日、「映像監視システムを支えるセキュリティ技術」に関するセミナーを開催しました。大きくいうと、音声と映像認識を用いた2つの技術が紹介されました。
音声の技術は、「ドローン(小型無人機)検知システム」です。
ドローンといえば、昨年4月、首相官邸の屋上にドローンが落下する事件がありましたよね。テロに悪用される可能性は、十分に考えられます。
パナソニックは、ドローンを目視しづらい遠方からでも検知できるシステムを開発しました。高感度集音アレイマイクを使った独自技術で、300メートル先からでも音を検知し、方向を特定。カメラで自動的に追従するシステムを開発しました。
官公庁や警備会社などの需要を見込み、7日から受注を開始しました。基本的なセットで販売価格は約1000万円、500台の販売を目指すといいます。
※ドローン検知システムによるドローン発見のデモ画面
二つめの映像監視技術は、「インテリジェント映像監視技術」です。具体的には、「顔ベストショット技術」と「MOR(Moving Object Remover)技術」があります。
「顔ベストショット技術」は、簡単にいうと、映像から「顔」など必要な部分だけを、切り出したり、より鮮明にしたりする技術です。
一方の「MOR技術」は、簡単にいえば、撮影した映像を加工して直観的に見せる技術です。デモでは、カメラに写った動体(人)が青く処理された映像が流されました。ほかにも「右から左へ横切った人」など、指定した方向に通過した人だけをカウントしたり、人物の動線や滞在時間を、ヒートマップで可視化したりできます。
※監視画像。「MOR技術」を使った画像(左)は人が青く映る。
「MOR技術」は、個人を特定しないための技術、すなわちプライバシー保護のための技術です。
用途としては、例えば、通常の監視映像は、事後検証用にレコーダに記録する。同時に個人を特定できないよう加工した映像を、モニタリング用に本部に配信する、といった使い方が考えられます。パナソニック曰く「監視とプライバシー配慮の両立」の実現です。
世界中から人々が集まる場で、先進技術を披露し、実績を示すことができれば、その後のグローバル展開につながります。
日本発のセキュリティ対策や警備の効率化技術は、世界に飛躍できるか。伊勢志摩サミットや東京五輪が、日本の警備技術を一気にハイテク化させる契機であることは、間違いありませんね。