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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

中国・自動車市場変調、いかに対応するか

中国の自動車市場が変調しています。2018年の新車販売台数は、前年比2.8%減の2808万600台でした。天安門事件の翌1990年以降、28年ぶりに減少に転じたんですね。

中国市場は、リーマン・ショックの翌09年、約1360万台で米国市場を抜き、世界一の自動車市場となりました。以後成長を続け、いまや、2位の米国市場の約1.6倍規模に成長しています。18年にも3000万台到達かといわれてきたのに、フタを開ければ、まさかのマイナスだった。

理由の一つは、自動車減税の終了です。中国政府は小型車の自動車取得税を、本来の10%から、16年は5%、17年も7.5%まで下げていました。17年末で打ち切りが決まっていたことから、17年までに駆け込み需要が発生し、需要を先食いした。

つまり、もともと、18年は反動減が見込まれていた。

ほかにも、NEV(新エネルギー車)政策によって、エンジン車のナンバープレート取得が難しいこと、不動産価格が高騰し、駐車場など維持費が高くなっていることなども、クルマが売れない原因になっているようです。もちろん、米中摩擦の影響もある。米国ブランド車の販売が低迷しているんですね。

中国の自動車市場全体が前年割れのなかで、日本メーカーは健闘しています。

トヨタは前年比14.3%増、日産は同2.9%増、三菱自動車は8.3%増でいずれも過去最高。ホンダは1.7%減となっていますが、これはリコールの影響があり、12月だけをみると前年同月比33%ですから、あまり心配する必要はなさそうです。

今後の中国市場を占ううえで、ポイントの一つは、この落ち込みが一時的なものか、それとも長引くのかということです。悲観する声もありますが、楽観視する声もあります。

例えば、中国で自動車に憧れる世代は、20代から30代と若い。これは、成熟して頭打ちの日本市場とは明確に異なる、明るい話です。

中国の自動車市場は、前年割れしたとはいえ、いまだ、ダントツの世界最大の自動車市場であることは間違いありません。日本の自動車メーカーは、中国の顧客、さらに政府の動きをよく見て、引き続き販売台数を稼ぐことが、まずは大事です。

加えて、地元のIT企業などと協業しながら、戦略的に「CASE」「MaaS」への対応を進めていくことが、これまで以上に重要になっていくのは間違いありません。

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