ソニーと都内のタクシー会社が共同出資する「みんなのタクシー」は5日、都内で事業説明会を開き、社長の西浦賢治氏がこれからの方向性などを説明しました。
タクシー業界は現在、働き手不足など、さまざまな課題を抱えています。
他業界から転職してきた経験の少ない乗務員が、リアルタイムに変化する乗車需要をいかに読み、効率的な運行で生産性を上げるか。簡単ではありません。
そこで、ソニーが「みんなのタクシー」を通じ、タクシー会社に提供するのが、需要予測サービスなんですね。
タクシーの走行データから乗客が見込めそうなエリアをドライバーのタブレットに表示し、未熟練ドライバーでも効率的な走行ルートの決定を行うことができます。
「500メートル四方の10分後の需要を予測することによって、タクシーの稼働を高められます」と、ソニー執行役員、AIロボティクスビジネス担当の川西泉氏は説明しました。
このほか、乗車点予測、長時間乗車率、空車動態表示、おすすめルート表示、特需発生表示なども表示されます。
また、タクシー業界は人手不足のため、高齢ドライバーが増えていますが、高齢ドライバーによる事故防止に役立つのが、運転支援ツールです。
ソニーは、タクシーと同型の車両を用意し、ソニー製のイメージセンサー、LiDARなどを搭載し、東京近郊でデータ収集のための試験走行を行う計画です。それらデータを解析し、安全運転技術につなげていきます。
新たな配車アプリが次々と登場しています。使い勝手を決めるのは、アプリの質です。そして、事故を起こさない安全なタクシーが選ばれるのはいうまでもありません。そこにソニーのAIやセンシング技術がどう生かされるか。
「みんなのタクシー」が提供するタクシーアプリ「S.RIDE」が、後発ながら競争力をもてるかどうかは、ソニーの技術力にかかっています。