Loading...

経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ホンダはなぜ、F1撤退を決断したのか

ホンダは2日、F1から2021年シーズンを最後に参戦終了することを発表しました。エンジンなどのパワーユニットを供給するかたちで、2015年からF1に4度目の参戦を果たし、今シーズンはこれまでの10戦で9戦連続で表彰台を獲得、ようやく勝利を手にできるようになったタイミングで、F1への参戦終了を決断したことになります。

なぜ、このタイミングで参戦終了を決断したのか。理由の一つは、ますます厳しくなる環境規制への対応ですね。

「F1では、優勝という目標を達成でき、一定の成果を得ることができました。その力をこれからは、パワーユニットとエネルギーのカーボンフリー化、カーボンニュートラル実現という新しいフィールドでの革新に注ぎます」と、社長の八郷隆弘氏はオンライン会見で述べました。

ご存じのように、環境規制が厳格化する中で、自動車メーカー各社はEVなどの電動車へのシフトを進めていますが、ホンダはEVの開発に出遅れています。2030年までに世界の四輪車販売の3分の2を電動車にするという計画を達成するためにも、リソースを集中させる必要があるんですね。

もう一つの理由は、経営的な問題です。新型コロナウイルスの影響で自動車の販売が低迷し、業績が悪化するなか、果たしてF1を続けることが正しいのかどうか、そんな余裕があるのかどうか……。

また、内燃エンジンに頼りつづけることへの限界がいわれていますが、そのことも、F1を続けることへの疑問として浮上していました。

ホンダ社内には、F1継続の意見もあったと聞きますが、私は、F1参戦終了は正しい決断だったと思います。

むろん、ホンダのF1参戦終了を惜しむ声が少なくないことは承知しています。ようやく勝利を手にできるようになったタイミングでの撤退の決断ですから、なおさらでしょう。

その意味で、あと一年、2021年シーズンを最後に撤退すると発表したのは、ホンダのF1への熱い思いのあらわれと見ていいでしょう。

「ファンの皆様の期待に応えるべく、今シーズンの残り7戦。そして、2021年シーズンに向けては、よりパフォーマンスを高めたパワーユニットも投入し、レッドブル・レーシング、スクーデリア・アルファタウリとともに、さらなる勝利を目ざしていきます」と、八郷氏は語りました。

もし、将来的に、ホンダがF1に復帰する可能性があるとしたら、電気自動車のフォーミュラカーレース「フォーミュラE」でしょうね。

ホンダが2015年、リーマン・ショックを乗りこえてF1に復帰したように、いつの日か、コロナ・ショックから立ち直って「フォーミュラE」に参戦する日がやってくるのかどうか。いや、ぜひとも、その日がやってきてほしいものですよね。

ページトップへ