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経済ジャーナリスト 片山修 | Osamu Katayama Official Website

片山修のずたぶくろⅡ

経済ジャーナリスト 片山修が、
日々目にする種々雑多なメディアのなかから、
気になる話題をピックアップしてコメントします。

ソニー株総、平井さんの「ラスト・ワン・インチ」は届くか?

ソニーは昨日、第100回目となる定時株主総会を行いました。どんな話が出たのか、少し報告してみたいと思います。

説明にたった代表取締役社長兼CEOの平井一夫さんの声には、張りが感じられました。業績に自信があるからでしょうね。今年度は20年ぶりの最高益が視野に入るなど、業績は悪くない。2014年度に無配だったことを思えば、15年度、16年度と年間配当金は20円です。集まった約2000人の個人株主も、比較的穏やかな気持ちで臨んだ株総だったのではないでしょうかね。

「増配の予定は」「株総第100回の記念配当は」など、株主から業績回復を見込んで株主還元に期待する声が聞かれると、平井さんは、「株主の皆様への利益還元については、私たち経営陣は非常に重要であると考えている」「今年度の配当金は適切な時期に決定する」と回答しました。

議案は、取締役12人の選任、ストック・オプション付与を目的とした新株予約権の発行についてで、両方無事に可決され、90分で終了。

さて、昨年の第99回株総では、ソニーは、設立70周年を記念して、AIBOやウォークマンなどこれまでのソニーを象徴する商品が次々と登場するメッセージビデオが流されました。今年もまた、メッセージビデオが流された。何のメッセージかといえば、「ラスト・ワン・インチ」です。

「『ラスト・ワン・インチ』とは、ソニーがお客様に感動をもたらす場所はお客様にもっとも近いところ、つまり、ソニーとお客様の接点であるということを表わしています」
これは、平井さんの説明です。

4K有機ELテレビの「ブラビア」や、ミラーレス一眼カメラ「α9」、「エクスペリアXZプレミアム」、業務用超大型ディスプレイのクリスタルLEDなどを例にあげて、説明したんですね。

そもそも「ラスト・ワン・インチ」は、平井さんが昨年から口にしている言葉です。ちょっと難しい言葉ですね。

メッセージビデオでは、「鼓膜をゆらす」「瞳にうつす」「感動がはじける距離」「感性はどこまで震えるか」などの言葉とともに、ソニーのヘッドフォンやテレビなどの映像が映し出されました。

グーグルやアマゾンなど、ソフトウェア企業が大きな力をもつなかで、ソニーがそれらの企業と「差別化」できるところ、また、他のエレキメーカーとの「違い」を追うことができる商品が、「ラスト・ワン・インチ」ということでしょうか。

ちなみに、メッセージビデオのしめの言葉は、「胸の奥まで届いたら SONY」でした。「お客様に向き合い、お客様に感動をもたらす『ラスト・ワン・インチ』の存在であり続ける」(平井さん)というソニーのメッセージ、さて、株主や消費者の“胸の奥まで”届くかどうか。これは、今後の業績が明らかにしてくれるのではないでしょうかね。

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